WTA500「東レ パン パシフィック オープンテニス 2024」が、有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コートにて10月21日~10月27日(本戦)に開催されている。26日はシングルスとダブルスの準決勝各2試合が行われた。
ワイルドカードで出場している155位のS・ケニン(アメリカ)が、第9シードのK・ボールター(イギリス)と対戦。ケニンは序盤から色々なショットを駆使して相手を動かし主導権を握る。ボールターのサービスの確率が低く調子が上がらないうちに6-4で第1セットを先取した。
第2セット2-3のサービスゲームでは0-40とブレークポイントを握られるが、それをしのぐと順調に試合を進める。5-3の1ポイント目で右足の内転筋を痛めるアクシデントがあったが、6-4で試合を閉めることができた。「今週は良いプレーができているし自信が付いてきているので、この調子でプレーしたい」と昨年9月以来の決勝の舞台に意欲を見せた。
しかし、ダブルスでも準決勝に残っていたケニンは、2-5になった段階で試合を棄権。シングルス決勝でプレーができるのか危惧されたが、「痛みはあるけれど明日に向けてできるだけのことをしていきます。明日プレーするつもりで準備していきたい」と前向きに語った。
第1シードのジェン・チンウェン(中国)が、勢いのある20歳、D・シュナイダー(ロシア)の挑戦を受けた。迫力のあるラリーが展開されたが、ジェンがダイナミックなフォームから繰り出す伸びのあるボールで相手を振って4ー0とリードする。パワフルだがミスも多かったシュナイダーは、バックハンドのアングルやスライスをミックスする器用なところもみせて5-5に追いつく。何度もセットポイントがありながら逃していたジェンが、タイブレークの末に第1セットを奪取した。
「リードした時にスピードを緩めてしまった」と第1セットを振り返ったジェンは、「コートを広く使って、前にも出ていこう」と決めて実行。6-3で決勝進出を決めた。2年前の決勝では「疲弊していた」記憶があると言い、今回は「自分の最高のテニスができるのではないかと思っている」と、今大会での初優勝を狙う。
ダブルスではケニン/B・マテックサンズ組の途中棄権により、柴原瑛菜/L・シゲムンド組が決勝に進出。前週のジャパンオープン優勝に続いての決勝進出に柴原は、「ラウラ(シゲムンド)とのコンビネーションも取れてきて、日本で良い結果を出せるのはすごくうれしいです」と笑顔で2週連続優勝を狙う。
青山修子/穂積絵莉組は先週のジャパンオープンで負けた第1シードのG・ダブロウスキー/E・ロウトリフ組にフルセットで勝利してリベンジを果たした。穂積は「先週の反省を踏まえて、最初から自分たちから仕掛けていく」プランだったことを明かし、第2セットを落としたものの、「そのプレーを貫けたことが勝ちにつながった」と語った。「ストレートを多く使っていこう」と決めていた青山のプレーもうまく機能し、ファイナルの10ポイントタイブレークでは一気にリードして勝利をつかんだ。青山は「日本でやっているので、お客さんの雰囲気もアドバンテージがあったと思う」と観客に感謝した。
明日の決勝は、日本人対決となる。柴原と青山は以前よくペアを組んでいたが、対戦するのは初めて。柴原は「どういうスタイルかはわかっているし、いいチャレンジだと思う」。青山は「(柴原は)決勝に強いと思うけれど、その勢いを奪い返すつもりで頑張りたい」。日本のファンにとっても興味深い試合になりそうだ。
明日はシングルス決勝が12時からスタートする。
-10月26日(土)の結果-
■シングルス準決勝■
〇S・ケニン(アメリカ)[WC] 6-4 6-4 ●K・ボールター(イギリス)[9]
〇ジェン・チンウェン(中国)[1] 7-6(5) 6-3 ●D・シュナイダー(ロシア)[6]
■ダブルス準決勝■
〇柴原瑛菜/L・シゲムンド(日本/ドイツ)5-2 ret. ●S・ケニン/B・マテックサンズ(アメリカ)[3]
〇青山修子/穂積絵莉(日本)6-4 2-6 [10-5] ●G・ダブロウスキー/E・ロウトリフ(カナダ/ニュージーランド)[1]
取材・文:Tennis.jp 写真:伊藤功已