こんにちは。川又智菜美です。
東レパンパシフィックオープンテニス2024も残りあとすこし。
日々熱戦が繰り広げられています。
大会が終わりに近づくと、「誰が優勝するのだろう?」とワクワクする気持ちと共に、「あぁ、もう終わってしまうのか」という寂しい気持ちにもなるものです。

今回は、見事決勝に駒を進めたジェン・チンウェン選手にスポットライトを当てて金曜日に行われた準々決勝を振り返りたいと思います。

ジェン・チンウェンvsレイラ・フェルナンデス

前のコラムでも取り上げさせていただいたフェルナンデス選手が、オリンピックで金メダルを取ったのが記憶に新しいチンウェン選手と対戦しました。
チンウェン選手は2022年の東レPPOテニスで決勝に駒を進めている選手で、その時から私も注目していました。
そんな2人の試合は、ジェットコースターのように進んでいきます。

ファーストセットはチンウェン選手の一方的な展開でした。
初めからギア全開でどんどん素晴らしいショットを決めていって、フェルナンデス選手がついていけずミスが出るという印象。

本人としても、「ファーストセットは本当に良い形で始めることができた」と振り返っています。
このままこの調子で試合が終わってしまうのではないか?とも思いましたが、セカンドセットからフェルナンデス選手が戦い方を変えて、盛り返します。
チンウェン選手の強打を下がらずにライジングで処理する場面が増え、ぐっとラインが上がりました。

どちらに転ぶか全く予想のつかなかったファイナルセットでは、チンウェン選手のボールが全体的にセカンドセットよりも深くなり、押していく形に…見事高い集中力で勝利を手にしました。

チンウェン選手は、オリンピックで金メダルをとり、USオープンでも準々決勝進出と見事な活躍を見せています。
しかしながら、彼女もモチベーション維持には悩みがある様子でした。
中国ではもちろん大歓迎を受けながら試合を行った訳ですが、それについて
「中国での試合がいくつか続いた時にはやはり相当なストレスを感じましたし、プレッシャーも感じました。ここで良い試合をしなければ、良いプレーをしなければという思いが非常に重くのしかかってきました。また同時に、シーズンというものは1年間と長いものです。オーストラリアに行った後は少し集中力を欠いてしまい、いくつか勝つべき試合を落としたという感覚があったので、そこから先はどうしたらこのモチベーションを上げて、高い状態を維持したまま続けられるか?ということを念頭に置いて試合に臨むようになりました」と語りました。

大きな活躍をすればするほど、周囲の期待も高まっていきます。
選手にとって声援や応援はもちろん嬉しいはずですが、時にはプレッシャーとして重くのしかかる時もあるのだと感じました。

金メダル獲得後、母国の中国に帰って普通に道を歩けないほどの人気を得た彼女。
「人々に知られていっていることを感じ、やはり人生が変わったんだなという風に思わざるを得なかった」
「ただ、私自身は全く変わっていません。自分の中で持ち続けている夢は変わっていませんし、その夢にはまだ届いていません。まだ遠いところにあるその夢、目標というのを絶対に手に入れるんだという気持ちは全く変わらずに持っています」とキラキラした顔で話してくれました。

この日もファンから大きな声援を受けていたチンウェン選手、22歳の彼女のこれからが楽しみです。
まずは明日の決勝、2022年にも決勝にまでは行っていますがタイトルをとることはできませんでした。
さて、今年はどうなるでしょうか?