12月14日(土)〜15日(日)、モリパークテニスガーデン(東京都昭島市)において、現役プロテニスプレーヤー西岡良仁(ミキハウス)が主催する男子ジュニア16歳以下の大会『Yoshi’s CUP 2024』が開催された。今大会は
14日は、各ブロック4名の2ブロックに分かれ、総当たり戦によるグループリーグが行われた。Aグループは第1シードで大会初の連覇がかかる川西飛生(湘南工科大学附属高校)が3戦全勝で1位通過。大会3日前に出場が決まった、岡部世南(ロランインドアテニスステージ)が2勝を挙げて2位通過した。
Bグループは3人が2勝1敗となる混戦のリーグで、得失ゲーム数により、第2シードの奈良恒輝(グリーンテニスクラブ)と、渡邉栞太(Tension)が決勝トーナメントを戦うことになった。
15日の決勝トーナメント準決勝の1試合は、Aグループ1位の川西と、Bグループ2位の渡邊との対戦。ブレークが続く中、3-3 のお互い譲らない長いゲームを川西が制すと、試合の流れを掌握。足首の痛みにより、5-4でメディカルタイムアウトを取りつつも、6-4で決勝へ進出した。
Bグループ1位の奈良と岡部の試合は、ノンプレッシャーの岡部が伸び伸びとしたプレーで奈良を追い込む。緊迫した場面でも「打たなきゃ負ける」という岡部の思いが、相手にプレッシャーを与え、タイブレークを制して決勝進出を果たす。
2年連続決勝進出の川西、そして初出場、初決勝となる岡部との対戦は、川西が岡部のサービスをブレークするところからスタート。「足首の捻挫もあったので、長引かせたくはなかった」と、集中力を高めて臨んだ川西は、相手よりも先に仕掛け、6-0で第1セットを奪う。
なんとか反撃を試みようとする岡部だが、「決勝ということで緊張した」と言うように、1ゲームで3本のダブルフォールトなど、それまでの勢いに曇りが見え、苦しい展開が続くことに。「第1セットを取ったことで、(報奨金の)400万円がちょっとチラついた」という川西が、相手に1ゲームのキープを許したのみで、6-0、6-1と圧巻の2連覇を飾った。
「昨年優勝したのにあまり海外へ行けなかったので、今回はたくさん行きたい」と喜びつつ、「これまで海外のジュニア大会で勝っていたのはアジアの大会でした。今年オランダへ行ったのですが、同じJ 60でもアジアよりみんな強く、そういうところで戦うのが重要なんだと思いました。ITFのワイルドカードも今年はボコボコにされたので、ジュニアではなくプロの世界で通用するものを考えて、磨いていきたいです」と語った。
敗退した岡部は、「経験が浅いまま出た大会で、勢いだけじゃダメだなと感じました。決勝では自分のサービスが良くなったときと川西くんにミスが出た時が重なって、たまたまゲームが取れましたが、この『たまたま』を当たり前にしていかないといけないと思います。今回は経験にも刺激にもなりましたが、何より楽しいが一番大きいです」と充実した表情を見せた。しっかりと残した爪痕は、『西岡賞』というギフトとして、返ってきた。
主催者である西岡良仁は「例年以上に身体が大きい選手が増えたというところは、世界基準に近づいてきていると感じます。僕みたいな身長の選手も、もちろん活躍して欲しいですが、生き残れるのは簡単ではないので、良いことだと思っています。また、ボールを打つのがうまい選手、色々考えている選手、ネットに出る選手、なんとかしてポイントをもぎ取ろうとする選手と、いろんな個性を持つ選手が見られて、本当に楽しかったです」と、選手について語った。
そして「14歳とか15歳の年代でどれだけ強くなれるのか、ということは確定できるものではなく、周りがなんと言おうが、負けも含め色々な経験をすることが大事です。そして、ここから這い上がってやるぞというメンタリティで活動していけば、絶対的にチャンスが巡ってくるはずです。そういうきっかけとなる大会の一つとなれば…」と改めて今大会の開催について振り返った。
大会初年度は100万円だった優勝者への活動支援金も、400万円まで増額となり、テニス界で浸透しつつある今大会。来年で5年目を迎えるにあたり、さらにスケールアップした形で、戻ってくるに違いない。
■順位■
優勝:川西飛生(400万円の活動支援金・UCHIYAMA CUP 本戦WC・ SBCドリームテニス国際大会本戦WC・マグナメソッドオンライン英会話1年間サポート・栄養士1年間サポート・IMGアカデミートレーニングキャンプ)
準優勝:岡部世南(UCHIYAMA CUP 予選WC・マグナメソッドオンライン英会話1年間サポート)
3位:奈良恒輝
4位:渡邉栞太
5位:戸邉悠真
6位:川口孝大
7位:大垣心太郎
8位:柳宏優
※3位~8位はマグナメソッドオンライン英会話1年間サポート
西岡賞:岡部世南(50万円の活動支援金・マグナメソッドオンライン英会話1年間サポート・IMGアカデミートレーニングキャンプ)
■Yoshi’s CUP開催意図■
世界で活躍する西岡選手の「今後の日本選手の未来のため、自分が現役として影響力を持ち合わせているうちに次世代の選手が活躍するためのインフラが作りたい」という想いからスタートしたジュニアトーナメント。ジュニア選手からプロの世界への橋渡しに課題が残る中、世界を舞台に活躍するプロの実体験を学び、世界に挑戦する機会をジュニア選手とそれを支える保護者に提供するプロジェクトと位置づけ、日本では非常に珍しい「活動支援付き」かつ世界ランキング大会への推薦出場や「西岡選手との練習」を提供する大会となる。
構成/Tennis.jp 写真/Yoshi's CUP 長浜功明