今年の8月、岐阜メモリアルセンターで開催された日本学生テニス選手権大会において、男子シングルスで優勝を果たした近藤大基(22歳、慶應義塾大学)、東日本選手権優勝で獲得した全日本選手権の本戦への出場では1回戦で世界ランク131位で第1シードの杉田祐一(26歳)と対戦し敗退した、4月からは銀行に就職する。
世界ランク最高1471位、ダブルスでは昨年、慶應義塾大学の先輩プロ、志賀正人とペアを組みつくばフューチャーズで国際大会初優勝を果たしている。
近藤が世界を目指して練習に励むジュニア選手たちに向けてメッセージを送った。
「テニスを楽しむ事こそが大切」
「全部自分から攻撃し、ディフェンスで凌ぐのでなく、中間のボール(ニュートラルな)を大切にすると良いよ。良い意味でも悪い意味でも大学ではミスをしない事を求められた。そして自分の自信のあったバックハンドに、課題だったフォアハンドで何ができるか?追求してきた。」
「高い目標を持っていたが、練習を誰よりもしてきた、トレーニングしてきたとは言い切れないが、誰よりも頭を使ってプレーをする事には誰よりも時間を使ってきた。自分のテニスをしっかり見つめ直し、そして何が出来るようになれば良いか?自分の良さは何かを考えて戦って結果が出た。」
就職活動に励む4年生の中で、テニスを仕事にする決意で練習をしてきた近藤。「将来はプロで活躍するのが目標」、就職を決めたがテニスに時間を使って活動できるという。
「大学入学後は、ナーバスに考えて悩んで苦しんだが、それも必要な事。とにかく楽しんでテニスが出来るように戦ってきた。頭を使えば、コートでの自分の力を発揮出来る。」と強豪に勝利し、全日本学生男子シングルス優勝を決めた。
「インカレ(全日本学生男子シングルス優勝)はもちろん目標だったが、最大の区切りだった大学王座に怪我で出場できず、プロを目指し目標にしてきた全日本選手権では、バックハンドスライスしか打てない状況で杉田選手に敗退してしまった。全てを費やして戦う目標の舞台だった2大会で満足にプレーすることも出来ずに悔しい気持ちのほうがはるかに大きい」という。
全国高校選抜優勝で掴んだ全米オープンジュニア予選の出場では見事に予選を勝ち上がり、世界8位のケビン・クラヴァイツ(ドイツ)に完敗した。しかし悩んで苦しんだ大学生活での経験は大きい。全米の大学テニスを経てプロに転向した選手でツアーを活躍している選手は多い。
プロへの強い決意を持った近藤が、日本の大学を卒業し理知的なプレーをするプロ選手として道を切り開く存在を目指し輝いている。
記事:長嶋秀和