錦織圭、今年は全米オープン決勝進出を果たすなどの成績を残し、世界ランクは5位、来年はグランドスラム大会優勝を目指す活躍を遂げている。

「出会ってから14歳くらいまでの圭は、体が小さく、力も弱く、運動能力も決して高くなく、病気や怪我にも弱い、テニス・プレイヤーとなるにはあまりにもひ弱すぎる少年でした。ところが、将来性を強く感じさせるようなところをいくつも見ることができました。」

「盛田ファンド」のマネージャーとして米国留学ジュニア時代を担当し、現在は彼に続く世界大会で活躍するジュニア選手を育てている米沢徹コーチのインタビュー。

Kei

圭は、体も小さく、自分から積極的に人の前に出るようなことはしない、もの静かな少年でしたが、テニスへの情熱は、他のどの選手よりも強いものを持っていた。

“テニスが好き”という気持ちには、テニスのためならば、例えどんなにつらく、苦しいことでも、無理難題でも、大好きなテニスのためならと笑顔で受け入れ、乗り越えることができるほど“好き”だということ。

すべての生活、人生でテニスが中心となり、いつもテニスが強くなるためにはという考え方を持ち、それがつらく苦しいことであっても、毎日が楽しく、充実していて、幸せだと思える感性の持ち主と言える。

彼は、私を含めた指導者のアドバイスを、子供ながらに実に真摯に聞く耳と、理解する心を持っていました。納得できることに対しては、我慢をし続け楽しみに変えてしまう感性と、これをとことん貫き通せる頑固さを持ち合わせた数少ない選手です。

苦しい時などに自分自身、つまり我がでてしまうものです。ところが圭の場合、頭の中の中心にはテニスを置き、自分自身は頭の中から追い出していたり、いたとしても非常に小さな存在にしていた。アドバイスを受けると、自分の中のテニスと相談し、答えを出し、頑張り続けることができた。

頭の中のテニスは、つらいことや、苦しいことでも、それが明日のテニスの糧になることであるなら、やり続けることを何のためらいも迷いも無く判断する選手でした。

記事:長嶋秀和

情報提供:米沢徹