ウィンブルドンが終わり、いよいよ夏のハードコートシーズンが始まっている。
錦織圭も、シティーオープンからリスタート。全米オープンに向けて期待が高まっている。

現在、男女とも日本人若手選手の台頭が著しい。特に西岡良仁、ダニエル太郎は全米オープンに続き、全仏でも予選を突破した。2人が注目される理由の1つに、10代前半から海外でテニスの腕を磨いて来た事もある。

日本テニス協会も今年6月に「JTA特別ジュニア強化プラン」を発表し、スペインでの短期留学の中でフューチャーズ大会へ参戦し、海外選手との試合を通じて強化をはかることを目指している。この強化プランは、東京オリンピックを見据えたものでもあるが、JTA強化本部長である植田実氏によれば、オリンピック後の継続的な日本テニスのレベル向上に繋げる目的も大きい様子。

12、13歳くらいのトップジュニアが海外経験を積むにはいくつかの方法がある。ひとつは早い時期からの海外留学であり、現在ではその存在をよく知られた盛田テニスファンドからの協力により、錦織圭、西岡良仁、昨年プロに転向した中川直樹など輩出している。
もうひとつは、拠点は国内であるが、積極的に海外遠征を組み、ヨーロッパやアメリカ、アジアの大会へ参戦することで、様々な国の選手と対戦し、経験値を上げていく方法である。

海外遠征、海外の大会で代表的なものが、テニスヨーロッパの大会やアメリカUSTAでの大会などである。ヨーロッパは特に、各国間の移動距離も短いため、各国のジュニア選手が多くの大会を回りながら強化をしている。12歳以下から18歳以下までカテゴリー別に相当数のトーナメントが毎年開催されている。

大会サーフェスもほとんどがヨーロッパのレッドクレーのクレーコートであるため、球足が遅く、ストローク力、粘り、多彩な技術、戦略を磨くためによい環境である。USTAも年間を通じて、多くのトーナメントを全米各地で開催している。世界のジュニアが集まりレベルが高い大会としては、12月にフロリダ州で開催される、エディーハー国際トーナメントやジュニアオレンジボウルなどがある。

日本代表のジュニアで世界を転戦し活躍する田島尚輝は、小学2年生の時、全豪オープン観戦と地元での大会参加をするツアーに参戦、錦織圭はじめ、世界のトップ選手をその目で見て「強くなりたい」と心に誓い、年間2か月以上の遠征をこれまでに経験値として積み上げて来ている。
12、13歳のときには、テニスヨーロッパの大会でシングルス、ダブルスでの優勝も経験、ジュニアオレンジボウルでも6位入賞している。

記事:長嶋秀和