グランドスラムジュニアと同格の世界スーパージュニア準優勝、驚異的な活躍の14歳

2015年5月、サイパンの国際大会において、18歳以下の日本代表選手を相手にストレートで勝利し初優勝。世界ランキングが獲得できるITFジュニア大会出場は、わずか2度目出場での出来事だった。全日本ジュニア14歳以下ベスト4ながら、グランドスラムジュニアと同格の世界スーパージュニア準優勝と驚異的な活躍を遂げた14歳、注目のジュニア選手の1人が内藤祐希だ。

人といつも笑顔で接し、楽しい性格の女の子だが、コートではコーチ曰く「練習好きではなく、練習時のテンションは決して高くないが学習能力が高く、練習で取り組んでいるプレーを本番で完璧に出す」という選手だ。

サイパン、台湾、米国と海外での参戦は少ないがわずか10大会で世界ランクを134位にあげた。これは世界で3番目の若さで上位進出を果たしている。特筆する戦績といえばグランドスラムジュニアと同格の世界スーパージュニア準優勝だろう。奈良くるみが14歳10ヵ月でベスト16、森田あゆみが14歳7ヵ月でベスト16に入っているが、決勝進出した内藤祐希の活躍は過去に類を見ない。

内藤祐希

バックのストレートが武器で、緩急のあるボールが打てる

注目を集める活躍を見せる現在に対して「バックのストレートが武器で、緩急のあるボールが打てること。」という内藤は、「でも、外国人にオーバーパワーされてしまったから、もっと練習して走ったりして、体もまだ小さいから食事と睡眠をとって大きくしていきたい」と意欲と冷静な自己分析を持っている。

12月、米国フロリダにて開催されたジュニアテニス選手の登龍門と言われるオレンジボウル選手権。元世界ランク1位で4大大会7勝を誇るジュスティーヌ・エナン(ベルギー)が優勝した大会でもある。その大会では世界ランク33位の相手に対して7-6(2)、6-7(6)、3-6と会場の観客を驚かせるプレーを見せた。また翌週にはジュニア・オレンジボウル選手権でも3位の活躍を遂げた。男女を通じての史上最長の世界ランク1位を記録したシュテフィ・グラフ(ドイツ )が優勝した歴史ある大会でもある。

内藤祐希

錦織圭や奈良くるみの様にテンポの早いテニスも得意

現在、内藤祐希の指導に携わっているコーチは、世界ランク8位の錦織圭(26歳、日清食品)を米国留学中に指導してきた米沢徹。内藤のプレーを「リラックスしたリストワークでラケットスピードを出し、多彩なショットを組み立ててポイントを作る事が出来る。」そして「女子では珍しい回転をかけてボールを操り、緩急をつけたプレーで立体的なプレーも、錦織圭や奈良くるみの様にテンポの早いテニスも得意。」という多彩な才能の持ち主だ。

相手の甘いボールを空中で攻め込むテクニック、高い打点からの打ち下ろすビッグフォアハンド、繊細なプレーでラインにボールを運びオープンコートを作る。そして勝負をかけたショット以外での凡ミスが少ないので観客が引き込まれるような好ゲームを披露する。

内藤祐希は「グレードの高い大会でポイントを稼いで二桁をキープしてグランドスラムジュニアの本戦に出て1個でも勝つことが目標」という。今年の全豪オープン出場を狙える位置にいるが、南米遠征に行くスケジュールを立てている。南米遠征ではクレーコート(レッドクレー)で球足が遅く、ボールがよく跳ねる。「近い目標はグランドスラムジュニア優勝」という言葉は、プロでの活躍を見据えている楽しみな選手だ。

記事:長嶋秀和