9月6日、USオープン10日目
2017USオープンシングルス男女4強が出そろった。

女子4強はオールアメリカン

36年の歴史の重み

“36年”の歴史の重みが、コートに立つマディソン・キーズの両肩に重くのしかかっていた。

「物凄くナーバスになったわ。だって、2日前(4回戦)には大きな勝利を手にして喜んでいたのに、今日になったら、私に最後の一枠が掛かっていたんだもの……プレッシャーだわ!」
試合後の会見で、彼女は目深に被ったキャップの下から、明るく人懐っこい笑顔をこぼす。

女子準々決勝が行われた大会10日目――キーズがカイア・カネピを破ったその瞬間、準決勝の2試合ともに、アメリカ人対決になることが決定した。
それは、グランドスラム史上では1985年のウインブルドン以来。
USオープンに限って言えば、1981年にポッター、エバート、オースティン、そしてナブラチロワが成した時以来のことである。

前日にビーナス・ウイリアムズが準決勝進出を決めた時、彼女はコート上で「まずはセリーナ(ウィリアムズ)の貢献に感謝しなくてはいけないわ」と、真っ先に妹に言及した。
22のグランドスラムタイトルを誇るセリーナこそが、20年近くに渡りアメリカ女子テニスを支えた屋台骨。

そして本日、3つ目の枠を確保したココ・バンダウェイは、
「私たちはみんな、ビーナスにセリーナ、ジェニファー(カプリアティ)やリンジー(ダベンポート)に憧れテニスを続けてきた」と、先達たちに敬意を表す。

そのダベンポートの姿はこの日、“オール・アメリカン・セミファイナル”実現の重圧を一身に背負い戦うキーズの、ファミリーボックスにあった。
バンダウェイの「憧れ」だった元世界1位は、今はキーズのコーチとして、自身の経験と知恵を後進に授けている。

「リンジーがいてくれて、本当に助かった。彼女は私の状況や緊張を全て理解した上で、適切なアドバイスを与えてくれたから」。キーズはコーチに、真っ先に謝意を述べた。

ウィリアムズ姉妹がテニス界を席捲しているその間、実はアメリカテニスそのものは衰退し、新たにトップ10に足を踏み入れる選手はいなかった。
その壁を昨年ついに打ち破ったのが現在22歳のキーズであり、そして今、25歳のバンダウェイや24歳のスローン・スティーブンスがブレークスルーを迎えつつある。

その開花の時の訪れを、先陣に立つことで待ち続けたのが37歳のビーナス。そして一歳年少のセリーナである。
“36年”の時を経て再びアメリカテニスが全盛期を迎えようとしているのは、紡いだ歴史の必然だ。

全米決勝対戦相手決定 を読む

<<女子準決勝>>
15]M.Keys(USA) vs 20]C.Vandeweghe(USA)
9]V.Williams(USA) vs S.Stephens(USA)

<<女子準々決勝>>
〇20]C.Vandeweghe(USA) 76(4) 63 ●1]Ka.Pliskova(CZE)
〇15]M.Keys(USA) 63 63 ●Q]K.Kanepi(EST)
〇9]V.Williams(USA) 63 36 76(2) ●13]P.Kvitova(CZE)
〇S.Stephens(USA) 63 36 76(4) ●16]A.Sevastova(LAT)
女子本戦ドローPDF

男子4強

ナダル対フェデラーの対決実現せず

男子はマレー、ジョコビッチ、昨年の覇者ワウリンカ、錦織圭、ラオニッチなどが怪我で不出場の中、ここでフェデラーが消えてしまったのは残念な気持ちがする。

初の決勝進出ボトムハーフ

ボトムハーフは、優勝候補の一人、第4シードのA・ズベレフ(ドイツ)が早々と2回戦で姿を消す。錦織を破り2014年にUSオープンに優勝したチリッチもいなくなった。
アンダーソンが2015年のUSオープン8強に続き4強とグランドスラム大会での最高成績、USオープンのハードコートは合っているのかも。
カレノブスタ(スペイン)はフェレールを若く、そしてパワーを付けたようなプレーヤー。ダークホース的な存在となった。

<<男子準決勝>>
1]R.Nadal(ESP) vs 24]J.del Potro(ARG)
28]K.Anderson(RSA) vs 12]Carreno Busta(ESP)

<<男子準々決勝>>
〇1]R.Nadal(ESP) 61 62 62 ●A.Rublev(RUS)
〇24]J.del Potro(ARG) 75 36 76(8) 64 ●3]R.Federer(SUI)
〇28]K.Anderson(RSA) 76(5) 67(9) 63 76(7) ●17]S/Querrey(USA)
〇12]Carreno Busta(ESP) 64 62 62 ●29]D.Schwartzman(ARG)
男子本戦ドローPDF

大会データー:2017USオープン
優勝賞金(男女同額):$3,700,000(約4億円)
準優勝:$1,825,000(約2億円)
4強:$920,000
8強:$470,000
4回戦:$253,625
3回戦:$144,000
2回戦:$86,000
1回戦:$50,000
本戦8/28-9/10,2017
会場:USTA Billie Jean King ナショナルテニスセンター
NY現地時刻(時差-13時間)
オーダー・オブ・プレー
ライブスコア
日本選手結果
<<男子2回戦>>
〇1]R.Nadal(ESP) 46 63 62 62 ●ダニエル太郎
〇L]L.Mayer(ARG) 67(3) 64 63 64 ●杉田祐一

<<男子1回戦>>
〇杉田祐一 62 62 60 ●G.Blancaneaux(FRA)
〇ダニエル太郎 61 46 46 62 62 ●T.Paul(USA)
男子本戦ドローPDF

<<女子3回戦>>
〇Q]K.Kanepi(EST) 63 26 75 ●大坂なおみ
〇L.Safarova(CZE) 63 62 ●奈良くるみ

<<女子2回戦>>
〇大坂なおみ 63 46 75 ●D.Allertova(CZE)
〇奈良くるみ 63 36 63 ●8]S.Kuznetsova(RUS)
〇L.Safarova(CZE) 61 36 62 ●日比野菜緒
〇27]張帥(CHN) 60 63 ●尾崎里紗

<<女子1回戦>>
〇大坂なおみ 63 61 ●A.Kerber(GER)
〇日比野菜緒 63 46 75 ●C.Bellis(USA)
〇尾崎里紗 63 67(5) 76(5) ●Q]D.Lao(USA)
〇奈良くるみ 61 62 ●Sorr Tormo(ESP)
〇23]B.Strycova(CZE) 61 63 ●土居美咲
〇K.Pliskova(CZE) 62 62 ●江口実沙
女子本戦ドローPDF穂積絵莉/加藤未唯組、二宮真琴、土居美咲、青山修子、大坂なおみダブルス出場。
女子ダブルスドロー予選には男子が添田豪、伊藤竜馬、内山靖崇、守屋宏紀、
女子は穂積絵莉、加藤未唯、日比万葉、澤柳璃子、波形純理が挑戦したが。
男子予選ドロー
女子予選ドロー
USオープンドロー

記事:塚越亘 塚越景子 森下泰 西谷明美 写真佐藤ひろし/TennisJapan

キーズ、36年”の歴史の重みに打ち勝った