9月8日、USオープン12日目
2017USオープン 男女シングルス決勝の顔合わせが決まった。

ラファエル・ナダルは昨年のフレンチ・オープン、1,2回戦に勝利するものの、3回戦を前に左手首のケガで棄権した。
その後はだましだましプレー、そして10月、故障を完全に治すために残りのシーズンを欠場した。ATPファイナルも8位と出場権利がありながらも出なかった。
そして今年大復活、全豪準優勝、全仏優勝、No.1にカムバックし、このUSオープンも決勝に進出した。

ナダルの怪我からのカムバックは知られているが、今大会決勝に進出した残りの3人も実は怪我からの復帰組だ。

ケビン・アンダーソン、マディソン・キーズ、そしてスローン・スティーブンス……この3人とも、今年1月の全豪オープンを、ケガのために欠場している。
カムバックこそが、今大会最大のキーワードだと言える。

男子決勝

ナダルvsアンダーソン

今年の全米オープン男子は、開幕時点でのランキング上位11選手のうちマレー、ジョコビッチ、ワウリンカ、錦織圭、ラオニッチと5名がケガで欠場するという、不穏な事態を迎えていた。
その一方で20歳前後の若手の台頭が著しく、そのため、世代交代の機になる予感がニューヨークを覆ってもいた。

だが、最終的に上位進出を果たし存在感を示したのは、ケガでツアーを離れていた選手たちだった。

4回戦でドミニク・ティームを、そして準々決勝ではロジャー・フェデラーを破りベスト4へと邁進したホアンマルティン・デルポトロが、手首の故障のために2年近く手術とリハビリを繰り返していたことは、多くのテニスファンが知るところだろう。

デルポトロのフォアと勝負勘は2009年、ナダル、フェデラーを破りUSオープンチャンピオンになったころのテニスに復活していた。

そのデルポトロを破ったナダルは「第1セットを失ったことで、2つほどやり方を変えた。バックに集め過ぎて読まれていたので、フォアにも少し振るようにした。そしてもっと相手を動かすようにした。」と。トッププレーヤーの資質で途中修正し勝利した。

全豪を欠場したアンダーソンは手術こそ回避できたが、「手術も選択肢だった」という程に深刻な負傷を臀部に抱えていた。

カレーニョ ブスタを破り、初のグランドスラム大会決勝進出を決めた31歳のアンダーソンは勝利後、あたかも優勝したかのごとく観客席まで登り上がり、彼を支えた妻そしてチームと歓喜をわかちあう。
「ここまではとても難しい道のり・・・。」その厳しさがわかるシーンだった。

ナダルは、12歳の頃から良く知る同期の友人について、次のように語っている。
「彼はケガをしても努力を重ね、復帰してきた。子ども達の良いロールモデルだ」。

かく語るナダルもまた、昨年は手首のケガに悩まされながら、今季は全仏オープンを制し世界1位にも返り咲いている。
その鮮やかな復活劇でケガに苦しむ選手たちに希望を与えた、彼こそまさに“ロールモデル”。

錦織圭の復活劇も期待したい。

<<男子決勝>>
1]R.Nadal(ESP) vs 28]K.Anderson(RSA)

<<準決勝>>
〇1]R.Nadal(ESP) 46 60 63 62 ●24]J.del Potro(ARG)
〇28]K.Anderson(RSA) 46 75 63 64 ●12]Carreno Busta(ESP)

<<準々決勝>>
〇1]R.Nadal(ESP) 61 62 62 ●A.Rublev(RUS)
〇24]J.del Potro(ARG) 75 36 76(8) 64 ●3]R.Federer(SUI)
〇28]K.Anderson(RSA) 76(5) 67(9) 63 76(7) ●17]S/Querrey(USA)
〇12]Carreno Busta(ESP) 64 62 62 ●29]D.Schwartzman(ARG)
男子本戦ドローPDF

スティーブンス27歳 2013年全豪4強全英8強

女子決勝はオールアメリカン

キーズ vs スティーブンス

決勝に残った二人はいずれもメスをいれている。
キーズは手首、スティーブンスは足首に。

「今年の全豪の時は、座ったまま動くことすら出来なかった」
そう振り返るスティーブンスは、約11ヶ月の戦線離脱から今年のウィンブルドンで復帰したばかり。
プロテクト・ランキングで出場したが、今年7月末には957位まで落としていた。

「全豪の時点では、私自身も含めて、誰も私が全米の決勝に来るなんて思わなかったはずよ!」
キーズも8ヶ月前の自分の状況に思いを馳せ、今の快進撃に声を弾ませる。

<<女子決勝>>
15]M.Keys(USA) vs S.Stephens(USA)

<<女子準決勝>>
〇15]M.Keys(USA) 61 62 ●20]C.Vandeweghe(USA)
〇S.Stephens(USA) 61 06 75 ●9]V.Williams(USA)

<<準々決勝>>
〇20]C.Vandeweghe(USA) 76(4) 63 ●1]Ka.Pliskova(CZE)
〇15]M.Keys(USA) 63 63 ●Q]K.Kanepi(EST)
〇9]V.Williams(USA) 63 36 76(2) ●13]P.Kvitova(CZE)
〇S.Stephens(USA) 63 36 76(4) ●16]A.Sevastova(LAT)
女子本戦ドローPDF

大会データー:2017USオープン
優勝賞金(男女同額):$3,700,000(約4億円)
準優勝:$1,825,000(約2億円)
4強:$920,000
8強:$470,000
4回戦:$253,625
3回戦:$144,000
2回戦:$86,000
1回戦:$50,000
本戦8/28-9/10,2017
会場:USTA Billie Jean King ナショナルテニスセンター
NY現地時刻(時差-13時間)
オーダー・オブ・プレー
ライブスコア
日本選手結果
<<男子2回戦>>
〇1]R.Nadal(ESP) 46 63 62 62 ●ダニエル太郎
〇L]L.Mayer(ARG) 67(3) 64 63 64 ●杉田祐一

<<1回戦>>
〇杉田祐一 62 62 60 ●G.Blancaneaux(FRA)
〇ダニエル太郎 61 46 46 62 62 ●T.Paul(USA)
男子本戦ドローPDF

<<女子3回戦>>
〇Q]K.Kanepi(EST) 63 26 75 ●大坂なおみ
〇L.Safarova(CZE) 63 62 ●奈良くるみ

<<2回戦>>
〇大坂なおみ 63 46 75 ●D.Allertova(CZE)
〇奈良くるみ 63 36 63 ●8]S.Kuznetsova(RUS)
〇L.Safarova(CZE) 61 36 62 ●日比野菜緒
〇27]張帥(CHN) 60 63 ●尾崎里紗

<<1回戦>>
〇大坂なおみ 63 61 ●A.Kerber(GER)
〇日比野菜緒 63 46 75 ●C.Bellis(USA)
〇尾崎里紗 63 67(5) 76(5) ●Q]D.Lao(USA)
〇奈良くるみ 61 62 ●Sorr Tormo(ESP)
〇23]B.Strycova(CZE) 61 63 ●土居美咲
〇K.Pliskova(CZE) 62 62 ●江口実沙
女子本戦ドローPDF
穂積絵莉/加藤未唯組、二宮真琴、土居美咲、青山修子、大坂なおみダブルス出場。
女子ダブルスドロー予選には男子が添田豪、伊藤竜馬、内山靖崇、守屋宏紀、
女子は穂積絵莉、加藤未唯、日比万葉、澤柳璃子、波形純理が挑戦したが。
男子予選ドロー
女子予選ドロー
USオープンドロー

記事:塚越亘 塚越景子 森下泰 西谷明美 写真佐藤ひろし/TennisJapan

31歳の遅咲きアンダーソン怪我を乗り越えた