2月11日 実業団日本一を決める、第32回日本テニスリーグ決勝が東京体育館で行われた。
女子決勝は橋本総業vs島津製作所。
なんと5年連続の対決、橋本総業はまだ一度も勝ったことがなかった。
橋本総業は江口実沙、穂積絵莉などシングルスで実績があるプレーヤーがいる中、あえて19歳の小堀桃子をNo.2シングルスに起用。
選手起用は井上明里を中心としてチーム全員で決めたと言う。
そしてしっかりと第三試合のダブルスに2017年全豪オープンダブルス4強の穂積絵莉と、ツアー経験も豊富でパワーと身長のある江口実沙を最終戦にとって置く作戦に出たのだ。
島津製作所のシングルスプレーヤー達に無言のプレッシャーをかけると共に19歳の勢いに望みをかけた。
19歳小堀 “頼れる先輩がいたから思い切り戦えた”
〇小堀桃子 6-4 6-4 ●桑田寛子
対戦相手の桑田は3年連続MVPを獲得した選手。
早稲田大時代は全日本学生選手権シングルスに3年連続優勝している実績のある27歳。ランキングも小堀より上だ。
小堀は第1セット、第2セットともに先にサーブを落とし1-3となる展開。
「離されずについていけた。シングルス1とダブルスで頼れる先輩がいたので、思い切り戦った。」と小堀。
桑田さんと対戦するのは楽しみだったとさえ言う。
その姿勢に試合展開は段々と変わり、小堀が優勢になる。
第2セット。
4-5で桑田のサーブ、競り合いが続くと思われたが、0-40と小堀がマッチポイントを握る。
15-40、二つ目のマッチポイントは桑田のダブルフォルトだった。
「緊張していた」とも話す小堀だが、その緊張を力に変えて先勝した。
瀬間詠里花 “みんなで戦った勝利”
〇瀬間詠里花 6-2 4-6 7-5 ●今西美晴
今までなかなか決勝では自分すべてを出し切れていなかった瀬間詠里花。今年は橋本総業のNo.1プレーヤーとして出場。エースとしての自覚も高い。
小堀が勝ったことにより「良い流れで気持ちよくプレーできた」と瀬間。
第1セットは勢いに乗り6-2で取る。
しかし2017年の全日本チャンピオン今西は粘り強い。
今西が第2セットを6-4で取り返した。
ファイナル・セット
瀬間は4ゲームを連取、そして5-2とリードを広げ、今西のサーブながら15-40とマッチポイントを握る。
目の前にきたそのチャンスを瀬間はものにできずに落とすと自分のサービスキープに失敗する。
今西は昨年の全日本チャンピオン。これで全日本は単、複、混合と三冠を達成した選手だ。
瀬間に“勝利”と“女王今西”の無言のプレッシャーがかかった。
「相手は今西さん、このままでは終わらない」と思う気持ちがあり、引いてしまったと言う。
流れが変わり5-5に。
「エリさんなら、大丈夫です。絶対。」と言うチームの声が聞こえる。
瀬間「チームを信じ、自分を信じて頑張りました。」チームの想いが戦う彼女の力となった。
30回を越えるラリー戦を制し、6-5。
今西サーブで5-6、15-40、瀬間に再びマッチポイントがやってきた。
ラリー、今西のフォアが白線を越えたその瞬間、瀬間はその場で大きく飛び跳ねた。
橋本総業5年越しの初優勝。19歳小堀から受け取ったバトンをNo.1プレイヤーとしてゴールまで運んだ。
最終試合は穂積絵莉/江口実沙が 7-6(4) 6-2 で大前綾希子/西本恵を制し、完全勝利。
“追う立場”から“追われる立場”となった橋本総業、この勝利と重圧がまた彼女たちを強くする。
歓喜に沸くチーム、応援団とともに喜びを分かち合う。
「嬉しい。一人の勝利ではない。応援してくれた皆の力、チーム一丸で戦えた。」
みんなで勝ち取った優勝とチーム全員が言う。
「島津製作所をはじめライバルのみなさんありがとう。
日本リーグのテニスを通して、一緒に女子テニス、そして日本のテニスを盛り上げていきたい。」橋本総業の姿勢である。
2月9日(金)~11日(日)
シングルス2試合、ダブルス1試合の合計3試合(同一選手の単複重複参戦不可)で争う団体戦。
<<決勝>>
〇橋本総業 3-0 島津製作所
S1 〇瀬間詠里花 6-2 4-6 7-5 ●今西美晴
S2 〇小堀桃子 6-4 6-4 ●桑田寛子
D 〇穂積絵莉/江口実沙 7-6(4) 6-2 ●大前綾希子/西本恵
<<3位決定戦>>
〇テニスユニバース 2-1 ●日本郵政
S1 ●川崎光美 0-6 2-6 〇宮村美紀
S2 〇守屋友里加 7-5 6-1 ●植木千尋
D 〇尾関彩花/寺見かりん 7-6(5) 6-1 ●山崎貴巴/伊藤遥
決勝トーナメント
記事:塚越亘/塚越景子 写真塚越亘/伊藤功巳/TennisJapan 田所浩行/橋本総業