3月18日 アメリカ西海岸、インディアンウェルズで行われている BNP パリバ・オープン(ATP/WTA男女共催)で、世界44位の大坂なおみ(日清食品)が優勝した。
世界19位のダリア・カサキナ(ロシア)を6-3、6-2のストレートで破り、自身初のツアー優勝を果した。
大坂のWTAツアー優勝は日本勢女子で11人目、2015年10月のルクセンブルク・オープンに優勝した土居美咲以来のこと。
この大会は10ある「プレミア」の中でも「プレミア・マンダトリー」と格が高い。しかもドローも96と多いビッグ大会、グランドスラム大会に続く格の大会だ。それに日本人選手として初めて大坂なおみが優勝した。
大坂の優勝賞金は$1,340,860(約1億5千万円)。
2012年のプロツアーデビューから昨年末まで、6年かけて獲得した大坂の賞金総額は$1,234,908なので、この12日間にその金額を越える額をここで稼いだことになる。
この優勝で、大坂の世界ランキングは自己最高の22位になった。
21日水曜日にはセリーナ・ウイリアムズと対戦
優勝をゆっくりと味わっている暇はない。
優勝後はチームとシャンパンで軽く祝い、その日中に次の大会であるマイアミ・オープンに移動した。
そして3日後、現地21日(水)には自分の憧れのプレーヤー、グランドスラム大会23回の優勝を誇るセリーナ・ウイリアムズと対戦する。
No.1プレーヤー5人に勝利
今もプレーしているランキングNo.1経験者は10人いる。
大坂はそのうち、5人に勝った。
今大会の準決勝で現No.1のハレプ、準々決勝でプリスコバ、1回戦でシャラポワを破る。
昨年8月のUSオープンでは前年チャンピオンのケルバー(ドイツ)、10月の香港オープンでは、ビィーナス・ウイリアムズに勝った。
残る5人はマイアミで対戦が決まっているセリーナ・ウイリアムズ、ウォズニアッキ(デンマーク)、ムグルサ(スペイン)、アザレンカ(ベラルーシ)、ヤンコビッチ(セルビア)だ。
対戦できることだけでも凄いことだが、その内の半数に勝っているのは凄い。
<<決勝>>
〇大坂なおみ 63 62 ●ダリア・カサキナ(ロシア)
カサキナはランキングは急上昇の今乗っている20歳。
ビッグサーバーではないが、フットワークが良く、ベースラインからスライスとトップスピンをうまく使い分けてプレーする。
2014年フレンチ・オープンジュニアに優勝。テニスがうまいプレーヤーだ。
そのプレーヤーに、第1セットは3-3から大坂が5ゲームを連取し、6-3、2-0。
その後は自分のサービスゲームをキープし完勝した。
「(大坂は)すごくパワフルで、サーブは良いし、弱点が無いように思えた。
フォアもバックも打ってきて、タフな試合だった。」
「もっと自信をもってプレーしようとしたが、(大坂の方が)私よりずっと良かった。
彼女は本当に優勝に値する」とカサキナ。
3時間かけてビィーナス・ウイリアムズを破った時の鉄壁の守備、粘りと多彩なショットは大坂には通用しなかった。
大坂、マッチポイントでバックのスイングボレーを決めると、左手で小さくガッツ。
この日、初めて笑顔を見せる。
そしてプレーヤー関係者席にかけ寄り、ベージン・コーチや、スタッフと抱き合った。
優勝スピーチ「最悪」と大坂
優勝スピーチでは、まずは「ハロー!」と埋め尽くした観客に声をかける。
「カサキナは本当に良い娘。これからもっと多く対戦してツアーを盛り上げたい。」
「私のチーム、ありがとう!サポートをしてくれて。」
「(コーチの)サーシャにも感謝。ここにはいない私の父にも。
お姉ちゃん、Hello! 母もフロリダで試合を見てくれていると思う。」
「何を言い忘れたっけ。スポンサーにも感謝。
アディダス、日清、WOWOW。ヨネックス!あとなんだっけ。」
「トーナメント関係者の皆さん、チェアアンパイヤ。 ボールキッズ達の仕事ぶりは最高!」
「う~ん、これは最悪のスピーチね!」
「皆さん、ほんとうにありがとう!」
試合後のプレスインタビューでは
「(試合中は)ものすごくストレスを感じ、ものすごく緊張していた。
でも私の計画は嘘のように(上手くいっていたので)、とても落ち着いてプレーできた」
「彼女がすべてのポイントをファイトしてくるのはわかっていたので、
私は(精神的に)ポイントを失う余裕がなかったし、正しい決断を続けなければならなかった」。
「なぜ私は、(トスで)はじめにサーブを選んでしまったのかわからない。すぐ(ゲームを)キープする必要があったし大変だった」
最後に(日本のテニスファンにぜひ日本語でメッセージと言われ)
「ありがとー!!!」
大坂なおみらしい、素直で型破りなスピーチといつもの楽しいインタビュー、ピュアな大坂なおみの姿勢にファンは増々増えていくだろう。
21日(水)
◆マイアミ・オープン
◆マイアミ・オープン女子ドロー
記事:塚越亘/KyokoOga/塚越景子 写真H.Sato/TennisJapan