kim_clijsters_wowow.jpg2012年シーズン開幕を告げる全豪オープンが16日、オーストラリアのメルボルンで始まる(予選は11日スタート)。昨年の優勝はキム・クライシュテルス(28歳、ベルギー)だったが、昨年の全仏前に足首の靭帯を損傷、その後、8月には腹筋を傷めてしまい、早々にシーズンを終えていた。その彼女が「第二の故郷」と話すオーストラリアで復帰する。


状態は不明ながらも、12月には地元のエキジビションでキャロライン・ウォズニアッキ(21歳、デンマーク)を相手に勝利するなど、回復は順調のようで、本人も自信を深めている様子。目標と話しているロンドン五輪に出場するためには、全豪でのポイントロストは最小限にとどめたいところなだけに、本気度は高いはずで、万全な状態で出てくるだろう。
全米準優勝を最後に実戦から遠ざかっているのがセリーナ・ウィリアムズ(30歳、米国)だが、彼女のこのスケジューリングは特に珍しいことではなく、ぶっつけ本番でもさしたる影響はないだろう。問題はフィジカルの準備ができているかどうかだけで、コートに現れた彼女の姿でその状態もある程度は予想できるはず。
ただし、以前は太目残りでもその圧倒的な実力を背景としたテニスで勝ち上がれたが、今は中位から下位の選手たちのレベルも上がり、序盤戦でもそう簡単にはいかなくなっているのは確か。もちろん、彼女自身も自覚はしているはずなので、勝つつもりならそれなり以上の状態を作ってくるだろう。テニスに対して前向きなコメントを連発しているのが本物なら、今季のセリーナは再び女王としての存在感を見せつけてくれるかもしれない。GSで4連勝するなど、圧倒的な強さを見せたのは、2002年全仏~2003年全豪にかけてのことで、すでに10年の時が流れた。彼女もすでに30歳を超え、一戦一戦が大切に思えてくる時期になるだろう。「テニス界の生ける伝説」としての存在感を誇示するようなシーズンにして欲しいところだ。
caroline_wozniacki_wowow.jpgランキングは1位で終えたものの、WTAが選定する年間チャンピオンからは漏れたウォズニアッキにとって、GSタイトルの獲得は今や目標でなく果たさなければならない宿題。オフの間に、どれだけ上積みができているかがまずは注目点だろう。パワーヒッターを相手にした時に、先制攻撃力がないのが彼女の課題だったが、ここに一定の目処が立っていれば、状況次第では一発もありうる。いずれにせよ目が離せない存在だ。
一方、2011年の年度チャンピオンに選出されたペトラ・クビトバ(21歳、チェコ)にとって、ある程度ボールが跳ねる割には遅くなく、イレギュラーのないハードコートの全豪は、恐らく最も戦いやすい条件のはず。しかし、彼女の場合は良くも悪くもメンタル次第。闘志を持ってコートに入ってくる時と、そうでない時の差が激しいため、出てくるまでは状態がわからないタイプなのだ。乗っていれば手がつけられないが、そうでなければあっさりと負けてしまうこともある。トップギア時での強さならクライシュテルスやセリーナにもひけは取らない。絶好調の彼女を期待したい。
maria_sharapova_wowow.jpgまた、昨年の東レPPOで左足首を傷めたマリア・シャラポワ(24歳、ロシア)は、どうやら回復に手間取っているようで、予定していた前哨戦をスキップした。タイプ的にはぶっつけ本番でも力は出せる選手だが、下半身のトレーニング不足は、彼女の武器である強打の精度に直結する。不安を抱えた全豪となるだろう。
ダークホース格はサマンサ・ストーサー(27歳、オーストラリア)だ。全米ではあのセリーナを圧倒しての優勝で、地元人気も沸騰。ただし、オーストラリア国内では「当然の優勝候補」と見なされている中で晒(さら)される、激しいプレッシャーとどう向きあうかが大きなハードルになる。彼女の潜在能力は、セリーナやクライシュテルスに匹敵して少しも劣らない超トップクラスのそれなのは、全米で示した通り。もし、この全豪を彼女が取りきるようなことがあれば、2012年シーズンそのものを席巻できるだけの力はあると見てもいいレベルのテニスを持っているだけに、その戦いぶりに注目したい。
男子と違い、女子には約2ヶ月の長いオフの後の全豪。大きな怪我でなければほとんどは回復した状態で臨め、また、さらに上積みをして出てくることも可能なだけのインターバルがある。「今の女子ツアーは非常にオープン(開かれた状態)」と多くの選手が口にする。上位から下位まで、ドロー表に名を乗せた選手の半分以上の選手には、優勝のチャンスがあると言っても言い過ぎではない。誰が飛び出してくるか、見る側もオープンな目で注目しておいて欲しい。
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