大会2日目のトピックは、日本的には何と言っても錦織圭(22歳)と伊藤竜馬(23歳、写真)の初戦突破だろう。シード順で言えば、最低でも3回戦より上に勝ち残らないとシードを守れない立場の錦織はともかく、ワイルドカード(主催者推薦)出場の伊藤は初めて出場した全豪本戦でGS初勝利。グランドスラムに出場した日本男子選手が2名以上初戦を勝ち上がったのは、なんと1974年の全仏以来のことで、日本男子の長かった夜も、いよいよ終わるのではないかという予感に満ちてきた。錦織はその強さを見せつけ、伊藤は格上のスタラーチェを相手に真っ向勝負を挑み、精神的に全く臆する所を見せなかったのが強く印象に残った。2回戦以降も期待しよう。
上位勢は概ね順当に勝ち上がった一日で、状態が心配されていたノバク・ジョコビッチ(24歳、セルビア)も相手のパオロ・ロレンツィ(30歳、イタリア)にわずか2ゲームのみしか許さない完璧な勝利を挙げ、アンディ・マリー(24歳、英国)もアメリカの新鋭ライアン・ハリソン(19歳、米国)に第1セットこそ奪われたものの、徐々に調子を上げ、最後はラケットでボールに触れさえすれば、展開を自在にコントロールするマリーらしいテニスを戦い演じてその強さを見せつけた。
女子ではマリア・シャラポワ(24歳、ロシア)が今季の初戦をヒセラ・ドゥルコ(26歳、アルゼンチン)と戦って準完封試合と仕上がりの良さをアピールし、セリーナ・ウィリアムズ(30歳、米国)も難敵タミラ・パスゼック(21歳、オーストリア)にやや苦しみながらも最後は貫禄の勝利で2回戦に進出した。
大きな衝撃だったのは、昨年の全米覇者で地元の期待を集めていたサマンサ・ストーサー(27歳、オーストラリア)が、世界ランク59位のソラナ・チルステア(21歳、ルーマニア)に、6-7(2-7) 3-6のストレートで敗れたことだ。
「第1セットでは2度先にブレークアップしたのに、その直後のサービスを戦いキープできなかった」とストーサーは話しながら、「相手は試合の序盤からとてもアグレッシブなプレーをしてきて、試合中にもどんどん良くなった。私はそれについていけず、コントロールを失った」とがっくりと肩を落とした。「残念だった。今はこれだけしか言葉がないわ」と敗戦を噛み締めた彼女はさらに、「私は本当に本当にこの大会でいいプレーをしたかったし、そのためにできることは全部やってきたし、チャンスだとも思ってた。でも、期待していたようなことは起きなかったわ。多くの人たちが応援してくれているのはわかってたし、それは心強かった。今回は期待に応えられなかったけれど、今後も応援してくれるとうれしい」と複雑な心境を言葉にした。
全米での優勝を受けて、周囲はもちろんだが、彼女自身も恐らく自分に大きな期待をしながら入った全豪。それは今までにはない大きな重厚となっていたのだろう。
しかし、彼女は「次の大会で活躍できるようにまた練習を続けるだけ。そうすればまた調子も出てくるはず」とも語っている。テニスの大会はサバイバルゲーム。一日で参加選手の1/4が敗者となり、最後には1人を除いて全員が敗者になる競技。精神面のタフさは、負けながら磨かれていくものと言った選手も過去にはいた。ストーサーの逆襲が逆に楽しみになってきたとも言える。
※写真提供:テニスジャパン、伊藤竜馬、クリックで拡大