26日、準決勝でこの二人が当たってしまうのだけが残念なカードだ。ロジャー・フェデラー(30歳、スイス)はグランドスラム通算16勝で史上最多、テニス史上最強とさえ言われる偉大なプレーヤー。対するラファエル・ナダル(25歳、スペイン)はグランドスラム通算10勝で、対フェデラーに17勝9敗の戦績を誇る「フェデラー・キラー」。同じ時代に生まれたことが奇跡とさえ言える両者の対決は、今回も激戦となった。


結果から言えば、6-7(5) 6-2 7-6(5) 6-4でナダルが勝利して、対フェデラー18勝目を挙げて決勝進出を果たしたのだが、大会前の状態では好調のフェデラーに対して、不安を抱えたナダルという構図だった。準々決勝でもデルポトロを一蹴してきたフェデラーに対して、トマーシュ・ベルディハ(26歳、チェコ)に苦戦を強いられたナダルという形であり、試合の序盤はその差が出た形にも見えた。
しかし、第1セットの終盤あたりから、ナダルの調子が目に見えて上がっていった。スタッツだけで言えば、フェデラーのアンフォーストエラーが63に対してナダルは34。この差が勝敗を分けたと分析してもいいのだろうが、フェデラーがウイナー級のボールを放っても、ナダルはそれに追いついてボールをコートに返してきた。結果としてフェデラーはより厳しいところへピンポイントで打たざるを得なくなり、記録としてのエラーが増えたと見るべきだろう。
第4セットの4-4、フェデラーのサービスで迎えた第9ゲーム。先にブレークポイントを握ったのはナダル。フェデラーが思い切って反撃に出てデュースまで戻し、一度はアドバンテージまで行ったのだが、ここが勝負とレベルを上げたのがナダルだった。二度目のデュースでフェデラーがフォアをストレートにアプローチ。果敢にネットを取りに行ったフェデラーに対して、ナダルはこれに飛び込んでアングルへフォアハンドのパッシングショットを抜いた。
勝負はこれでほとんど決まってしまったと言っていいだろう。フェデラーそのままこのゲームを落とし、続くゲームでナダルが自分のサービスをキープして試合は終わった。
ナダルはこれで昨年の全仏以来、4度続けてのグランドスラム決勝進出を、これ以上ないという形で自分のものとした。決勝の相手は明日のノバク・ジョコビッチ(24歳、セルビア)対アンディ・マリー(24歳、英国)の勝者となる。