女子の国別対抗戦フェドカップ、ワールドグループ2の1回戦、日本対スロベニアが、2月4日と5日に兵庫県のブルボン・ビーンズドーム(室内ハード)で開催される。


フェド杯はシングルス4試合とダブルス1試合という順で実施され、先に3勝をあげたチームの勝利となる。
初日は両国のナンバー1と2がたすきがけでシングルス2試合、2日目はナンバー1同士、ナンバー2同士でのシングルス2試合で、それで勝負がつかない場合は、ダブルス1試合でチームの勝敗を決するというスタイルだ。
代表に選ばれるのは各チーム4名まで。4名の選手で単複を担当する。最も少ない構成では2名の選手がフル回転すれば試合にはなるが、最も理想的な形として想定されているのは、シングルスで2名、ダブルスで2名の分担制ということから、最大4名が想定されている形になる。
日本が戦う「ワールドグループ2」は、8カ国で構成されるトップカテゴリーで、世界一を争うトーナメントの「ワールドグループ」のひとつ下のグループで、同じく8カ国で構成されているいわば予選組。日本は今回のスロベニア戦を勝つと、「ワールドグループの1回戦で敗れた国」と、「ワールドグループ2の1回戦で勝った国」で再び組み合わせ抽選を行ない、4月21・22日に実施されるプレーオフに進める。そして、これにも勝つと来季は「ワールドグループ」に復帰できるという仕組みになっている。
さて、日本対スロベニア戦の展望だが、1月27日に正式に発表された両国のメンバーは、日本が森田あゆみ(21歳)、クルム伊達公子(41歳)、奈良くるみ(20歳)、藤原里華(30歳)。スロベニアはポローナ・エルコグ(WTA35位、21歳)、ペトラ・ランプレ(同178位、32歳)、ナスチャ・コーラル(248位、17歳)、アンドレヤ・クレパック(320位、25歳)となった。
日本とスロベニアは2010年のワールドグループ2のプレーオフでも戦っているが、その時はアウェーのクレー。これに敗れた日本はその後、アジア・オセアニアゾーン予選からの出直しを4連勝で抜け、昨年7月のアルゼンチンとのワールドグループ2プレーオフでも勝って、再び当たったのが偶然にもスロベニアという因縁の対決となる。
メンバー的に言えば、日本の方が上と断じてもいいのだが、それはあくまでもランキング上での話。前回の対戦での日本は1-4で敗れているのだが、その1勝はヘルコグに勝ったクルム伊達で、今回はメンバーを外れているスレボトニックの代わりに入ってきたコーラルは、今のランキングこそ低いものの、2011年のヨーロッパ・ジュニア選手権のチャンピオンで、実力は折り紙つきの次代のスター候補。油断していていいような相手ではない。
日本としては、「森田で2勝する」、あるいは「クルム伊達が柱」などという考え方をせず、4人で3勝するという意識の徹底が必要だろう。当初は土居美咲(20歳)を起用する予定だったのを、直前の全豪期間中になって急遽、現時点で調子のいい奈良に変更したのは、そのためでもあるはずだ。
ランキング的にナンバー2の位置に入るクルム伊達が、初日ヘルコグとの対戦になる。日本としては、この初日の2試合で2勝というのがあらゆる意味で理想的だ。
打ち粘りタイプのヘルコグに対しては、森田よりもクルム伊達の方が相性が良く、初日にクルム伊達が彼女から勝ち星をあげておけば、2日目は3試合の内で1つ取ればいいという状況に持って行ける。森田と藤原は全豪でもダブルスを組んでコンビの熟成を進めていて、ほぼ万全に近い。初日にクルム伊達が全力でヘルコグを潰し、森田が相手のナンバー2を叩いておけば、2日目はシングルスで様々な選択肢が取れるようになる。
例えば、ベテランのクルム伊達を1試合に集中させ、バックアップ役の奈良を2日目にナンバー2の位置に入れる作戦を使うとしても、初日の2勝が実現できているかどうかでその作戦の成功率は変わっていく。
村上武資監督は、総力戦で勝ちに行くと話しているが、このワールドグループ2の初戦は、勝たなければ意味がないという対戦でもある。日本女子が戦うべき本来の舞台であるワールドグループ復帰に向け、まずはこの1戦が重要になる。
その意味では団体戦にかける思いの強いクルム伊達の復帰、森田の本格化、経験豊富な藤原の存在は心強い。今回の日本チームは、現時点で考えられる日本女子最強の布陣と言えるメンバーになっているのは間違いない。日本女子の底力を見せつけてほしいところだ。