グランドスラムの今シーズン3大会目となるウィンブルドン選手権が、25日に開幕した。大会初日には、男子前年優勝者のノバク・ジョコビッチや、同大会6度の優勝を誇るロジャー・フェデラーらが登場。それぞれストレートで勝利を収めたが、第6シードのトーマス・ベルディハが、87位のアーネスツ・グルビスに、6-7、6-7、6-7で敗れる番狂わせがあった。


前年王者の帰還を待ち、誰にも踏み荒らされることなく、1年間手入れを受けてきた青い芝――。
ディフェンディングチャンピオンとしてセンターコートの真新しい芝を踏んだとき、ジョコビッチは「芝は柔らかくなめらか。コートは静謐(せいひつ)で、歴史と伝統を感じた」という。
この日対戦したのは元世界1位のフアンカルロス・フェレーロだが、現1位との力の差は明らかだった。ジョコビッチは、第1セットの第3ゲームをさきにブレークされるが、すぐにブレークバックすると試合の支配権を手に入れる。サーブも尻上がりに調子をあげ、第3セットだけで奪ったエースは7本。最後もサーブを相手コートに叩きこみ、6-3、6-3、6-1の快勝で連覇に向け好発進した。
3年ぶりの優勝を目指すフェデラーも、アルベルト・ラモスを6-1、6-1、6-1、試合時間1時間20分で一蹴。まるで実戦でボレーの感触を試すように、積極的にサーブ&ボレーを試みポイントを量産したフェデラーは、「思っていたより多くのサーブ&ボレーができた。リターンもよかったし、凄くいいプレーができている」と自画自賛の試合内容。史上最多タイとなる7つ目のウィンブルドンタイトルを、虎視眈々と狙っている。
この日最大の番狂わせは、一昨年の準優勝者ベルディハが、87位のグルビスに敗れた一戦だろう。だが、グルビスがランキング以上のポテンシャルを持つことは、ツアー選手なら誰もが知っている事実だ。とくに190cmの長身から放つ高速サーブは、芝では驚異的な武器となる。対するベルディハもビッグサーバーであるため、この試合は両者ともエースを量産し、全てのセットがタイブレークにゆだねられるサーブ合戦となった。
そして最終的には、サーブの成績で勝ったほうが試合を制する。グルビスが奪ったエースは、実に30本。ベルディハの13本を大きく上回った。さらには第1サーブの成功率も、ベルディハの59%に対しグルビスは73%。ラリーでも相手を凌駕する場面が多く、「僕のフォアがいい当たりをしているときは、誰が相手でも打ち勝てる」と、ビッグマウスとともに自信も戻ってきたようす。「世界のトップを狙える逸材」といわれ続けてきた23歳が、今大会の台風の目となりそうだ。