ロンドン郊外で開催中のウィンブルドン選手権は28日に男女2回戦を行い、添田豪が2009年全米優勝者のファンマルティン・デルポトロと対戦。世界9位の相手からセットを奪う健闘を見せたものの、2-6、3-6、6-1、4-6で敗れた。
第3セットを添田が6-1で奪ったとき、「もしかしたら」の熱い期待感がコートを支配した。
「2週間ほど前から試し始めた、新しいグリップでのサーブがしっくりきている」という添田は、この第3セットでは、自分のサービスゲームで僅か2ポイントしか落とさないほどに、サーブが好調だった。加えて、添田の最大の武器であるバックのショットも、冴えに冴える。
「デルポトロも、どちらかというとバックが得意だと思うが、そこで打ち勝てれば試合に勝つチャンスもあると思っていた」という添田が、バックの打ち合いで相手をねじ伏せる場面が何度も見られた。
第4セットでも、自分のサーブをキープし、しっかりとデルポトロに食らいついた。しかし、4-5で迎えた自分のサービスゲーム最初のポイントを、ダブルフォルトでスタート。「あのダブルフォルトが大きかった」と試合後に振り返るターニングポイントではあるが、同時に「攻めにいった結果なので、しかたない」と納得の表情でもある。いずれにしてもこのゲームを落とした添田は、同時に試合にも敗れることとなった。
悔しい敗戦ではあるが、それでも今年のウィンブルドンで、自身初の“グランドスラムシングルス初勝利”を手にした添田が、今回得たものは大きい。その添田の成長は、他でもない対戦相手のデルポトロが、誰よりも良く分かっている。
「僕は彼(添田)と5年前に対戦しているけれど、その頃より凄くプレーが良くなった。フォアもバックも同じように打てるし、そして動きが速い」。そう添田を賞賛したデルポトロは「錦織も良い選手だし、僕は日本人とたくさん試合しなくちゃいけないよ」と付け加えて、目尻を下げて笑った。
本人も既に知っているように、デルポトロが次に対戦するのは、錦織。「錦織のことはジュニアの頃から知っている。彼は凄く良い選手に成長した」と、旧知の相手との3年半ぶりの対戦を心待ちにしつつも、「彼は全てのショットが素晴らしい上に、安定している。そして動きが、とても速い。芝では、特に危険な選手だ」と警戒心を深めてもいた。