roger_federer120630.jpgロンドン郊外で開催中のウィンブルドン選手権は29日に男女3回戦を行い、男子第1シードのノバク・ジョコビッチと第3シードのロジャー・フェデラーは、いずれも今大会初めてセットを落とすも勝利した。


novak_djokovic120630.jpgジョコビッチは、ラデク・ステパネクを相手に第1セットを落としたが、終わってみれば4-6、6-2、6-2、6-2で順当に勝利。フェデラーはジュリアン・ベネトーに2セットを奪われるものの、3セット連取で辛くも逆転勝利をものにした。
昨晩のラファエル・ナダル敗戦の余韻が残る、センターコート。第1試合に登場したジョコビッチが曲者のステパネクに1セット目を奪われたとき、スタジアムは、2日連続の波乱の予感にざわついた。
しかし「昨日のラファ(ナダル)の試合は見ていたが、僕は自分の試合に出だしから集中していた」という世界1位は、前夜の悪夢に引き込まれることは無かった。第2セットの最初のゲームをブレークすると、嫌な空気を払拭し一気に加速。以降は危なげなくポイントを連ねて、4回戦進出を決めた。
そのジョコビッチ以上に追い込まれたのが、フェデラーだ。30歳でランキング30位のベネトーは、今シーズンに入り絶好調。3年前のパリマスターズではフェデラーを破るなど、上位陣を破る爆発力も秘めている。
そのようなベネトーの潜在能力が、試合開始直後から遺憾なく発揮された。時速200キロを超えるサーブを軸に、ボレーやスライスなど多彩なショットを操り、フェデラーと互角以上の戦いを展開する。第2セット終盤のサービスゲームでは、相手のブレークポイントで芸術的なドロップショットを沈めるなど、恐るべき心臓の強さも発揮した。
しかしフェデラーは、窮地に陥ってなお、プレーのレベルを上げる余力を残していた。「2セットを奪われても、落ち着いていたしパニックにはならなかった」というフェデラーは、第3セットは開始直後から驚異的な集中力を発揮し、一挙に4ゲーム連取。まずはセットを一つ奪い返した。
つづく第4セットでは、5-6からのサービスゲームで15-30と追い込まれるも、要所で時速200キロを超えるサーブをライン上に叩きこみ危機を脱する。そうしてタイブレークの末にフェデラーが第4セットも取り返したとき、ベネトーの顔には、疲労と失望の影が色濃く落ちていた。
第5セットでは、両者のタンクに残っている心身のエネルギーの差が明らかになる。足の痙攣(けいれん)におそわれたベネトーは、フェデラーの広角に打ち分けるショットに、もはや対応できなくなっていた。最終セットは6-1。3時間34分に及んだ熱戦ながらも、最後はフェデラーの強さが際立った。
 
その他の試合では、この日の男子は上位シードの敗退が目立った。第8シードのヤンコ・ティプサレビッチミハエル・ユーズニーに、第15シードのファン・モナコもノーシードのビクトール・トロイツキにセットカウント3-1で敗れる。第17シードのフェルナンド・ベルダスコは、75位のザビエル・マリッセにフルセットで敗れた。
※写真はフェデラー(上段)とジョコビッチ(下段)、クリックで拡大