ロンドン郊外で開催中のウィンブルドン選手権で、7月3日に女子準々決勝4試合が行われ、ベスト4が出揃った。前年優勝者のペトラ・クビトバと対戦したセリーナ・ウィリアムズは、1度もサービスゲームを失うことなくストレート勝ち。第2シードのビクトリア・アザレンカも、タミラ・パツェックを6-3、7-6で退けた。第3シードのアグニエシュカ・ラドワンスカはマリア・キリレンコを、第8シードのアンジェリーク・クルベールはドイツの同胞サビーネ・リシキを、それぞれフルセットの接戦で破っている。
※写真は4強入りを決めたセリーナ・ウィリアムズ、クリックで拡大
ウィンブルドンで4度の優勝を誇るウィリアムズが、ついに真の力を発揮した。昨年の優勝者対、2年前の優勝者という女王対決は、事実上の決勝戦といってもよいほどに、緊張感に満ちたハイレベルの攻防となる。その事実は数字にも顕著に現れ、ウィナーの数はウィリアムズ27対クビトバ21。アンフォーストエラーはウィリアムズ10にクビトバ14と両者ともにミスが少なく、全てのショットが攻撃的で精度も高かった。
そのような競った戦いの中で勝敗を分けたのは、数少ないチャンスをものにしたか否か。第1セットは互いにサーブが好調ながらも、第9ゲームの最初のポイントでクビトバがダブルフォルトを犯すと、ウィリアムズが牙をむく。クビトバのサーブを強烈なリターンで叩き、ポイント連取でブレークに成功。勝機の匂いを嗅ぎつけるやいなや、相手の喉笛に噛み付き離さなかった。
第2セットでも、ウィリアムズはサービスゲームをキープしつつ、勝負を仕掛けるタイミングをうかがっていた。そのチャンスは、終盤のリターンゲームで訪れる。フォアのクロスでポイントを奪うと、今度はバックでもポイントゲット。ウィリアムズの迫力とパワーに恐れをなしたように、クビトバはこのあとつづけてショットをネットにかけてブレークを許してしまった。そしてウィリアムズは、自身のサービスゲームで再び加速する。最後のゲームでは、センターに時速190キロ超えのサーブを4本叩き込んでゲームセット。今大会苦戦つづきだった実力者が、ここにきて一気に優勝候補に躍り出た。
そのウィリアムズへの挑戦権を得たのは、ここまでセットを失うことなく勝ち進んでいるアザレンカ。準々決勝では、芝を得意とするパツェックの強烈なリターンに苦しみながらも、第2セットをタイブレークで競り勝つ勝負強さを発揮する。ウィリアムズには過去の対戦成績で1勝7敗と大きく負け越しているが、「過去を振り返るのは好きではない。私は以前より、確実にいい選手になっている」と語気を強めた。
ラドワンスカ対キリレンコの1戦は、何度も雨で中断されたすえに、最終的にセンターコートに移されるという長丁場に。試合の流れも二転三転するが、最後は経験とショットバリエーションに勝るラドワンスカが、試合時間2時間50分、試合開始から終了まで7時間20分を要したマラソンマッチを制してベスト4に勝ち進んだ。
クルベール対リシキのドイツ対決は、ウィナーもエラーも多い超攻撃型のリシキに、堅守とカウンターで抗するクルベールという構図に。昨日の試合でシャラポワを破ったリシキは57本のウィナーを奪ったが、50本のアンフォーストエラーが仇となる。最後もリシキのショットがアウトとなり、2時間30分の試合に終止符が打たれた。
この結果女子は、ウィリアムズ以外の全員が同大会初のベスト4というフレッシュな顔ぶれ。準決勝は明後日6日に行われる。