2012年、日本男子テニス界は今までにない活躍を見せた。特に錦織圭(22歳)の活躍は目を見張るものがあり、オリンピックベスト8、楽天ジャパンオープン優勝、そして自身最高ランキング15位など、日本のテニスファンが待ち望んでいたヒーローという存在になった。
それに触発されたかのように、添田豪(28歳)、伊藤竜馬(25歳)、杉田祐一(25歳)、守屋宏紀(22歳)も大きく躍進した。
デビスカップ日本代表チームコーチであり、ツアーに帯同する増田健太郎氏は「添田も伊藤もオリンピックという大きな目標があったので、試合に勝ってランキングを上げることが必要だった。それが、今年の活躍につながった」という。
「オリンピックに出場するためには、65位以内という明確な目標ができ、添田はスイングスピードを強化し、ショットをパワーアップさせて世界で戦うストローク力に磨きをかけたことと、体力的に長時間のタフな試合でも戦えるよう、トレーニングを行ったことが、今年の躍進につながったと思う」
一方、伊藤の場合は「メンタル面を大幅に鍛え、試合中の気持ちの持ち方、自分からミスをしない忍耐力の向上に努め、またテクニックの部分では、重心を低く保つこと、ラリーで積極的にコースを変えること、そしてサービス力のアップを目指した結果、ランキングアップにつながった」と増田氏は語る。
こうして彼ら自身が自己最高ランキングを更新しながら、ロンドンオリンピックには錦織、添田、伊藤の3人が出場した。
そんな彼らに追いつき、追い越せとばかりに日本男子は大きく成長することになる。
デビスカップのメンバーであり、伊藤とは同じ年でライバル的存在の杉田も自己最高ランキングを更新し、まさにグランドスラム大会本戦ストレートインも目前。「杉田の場合は、3人に触発されて100位に入っていないとダメだという思いが出てきた。だから、自己ランキングを更新しても、100位の壁を超えていないので、本人は満足していません。100位に入るためにサービス力の強化を行い、それが結果につながっていると思います」(増田氏)
守屋は、全米オープンの予選を勝ち抜いて、自身初のグランドスラム大会本戦出場を果たす。そして、ランキングも自己最高を更新し、現在171位。「先輩プレーヤーたちの活躍、ランキングの上昇を意識しており、追いつこうとする気持ちを非常に感じ取ることができる。また、フィジカル面の強化を目指した今年は、トレーナーを帯同しツアーを回っていた。それが、大きくステップアップする要因になったと思う」と次代を背負うであろう守屋を分析した。
目標があり、そしてライバルがいる。そんな環境の中で日本男子は2012年、世界の舞台で大きく躍進した。
※写真は、ロンドンオリンピックベスト8、楽天ジャパンオープン優勝と活躍し、自身最高ランキングを15位に更新した錦織圭。写真は楽天ジャパンオープンで撮影
Photo by Hiroshi Sato
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