11月3日、三菱 全日本テニス選手権 94th、最終日。
男子シングルス決勝は、20歳同士の対戦。学年では一つ上の第6シードの野口莉央(明治安田生命)が第3シードの清水悠太(三菱電機)を6-3、6-4で破り初優勝を飾った。
野口は越智真(江崎グリコ)の3回戦で、第1セットを5-7で競り負け、第2セットのタイブレークでも4-6とマッチポイントを握られていたが、そこから九死に一生を得て勝ち上がり優勝した。
ダブルスは男女ともトップ2シードの対戦となり、2年連続同じ対戦となった男子決勝は第1シードの仁木拓人(三菱電機)/今井慎太郎(イカイ)組が7-6(3)、 7-6(9)で第2シードの清水悠太(三菱電機)/羽澤慎治(慶應大)を破り二連覇を達成した。
女子は第2シードの森崎可南子(橋本総業)/米原実令(明治安田生命)が第1シードの加治遥(島津製作所)/波形純理(伊予銀行)を6-4、6-4で破り2年ぶり2回目の優勝を果たした。
金曜日に行われたミックスダブルス決勝では第2シードの清水悠太(三菱電機)/小堀桃子(橋本総業)組がノーシードの坂井勇仁(伊予銀行)/森崎可南子(橋本総業)組を7-5、6-4で破り優勝した。清水は昨年は清水綾乃と組んで優勝しているので、大会二連覇を決めていた。
厳しいドローの野口莉央
三種目決勝の清水悠太
<<男子決勝>>
◎6]野口莉央(明治安田生命) 63 64 ●3]清水悠太(三菱電機)
ともに20歳のふたりが決勝で顔を合わせた。学年は野口がひとつ上でプロ3年目、清水はプロ2年目。
清水の最新の世界ランクは367位。一方の野口は398位。(全日本人ATPランキング 10/28付け)
第1セットは清水が先にブレークして3-1とリードする。
しかし、清水はそのリードを生かせない。
なんとそこから5ゲーム連続で失う。
清水はシングルス、ダブルス、ミックスダブルスと全種目出場。
3種目ですべて決勝に進出、金曜日には小堀桃子(橋本総業)と組んだミックスダブルスで優勝している。
昨日の島袋将(早稲田大)との準決勝は2-6、6-3、6-4、前々日の山崎純平(日清紡)との準々決勝も7-5,4-6,7-5のフルセットの末の勝利だった。その他に男子ダブルス、ミックスダブルスの試合もしている。
連日連戦で疲れも溜まり、筋肉も悲鳴をあげているのだろう、清水の左ふくらはぎには厳重にテーピングされている。
第2セットはブレーク合戦。
3-3から野口がラブでキープ、4-3とする。
3-4、清水は第8ゲームをダブルフォルトで落とした。
野口、5-3、サービング・フォ・ザ・チャンピオンシップ。
20回は越える凄いラリー戦が何回も続く、
清水が最後の力を振り絞り、第9ゲームをブレークし4-5とする。
5-5になれば勝負はわからない。
手に汗握るストローク戦が続く。
「相手の清水は3種目全部の決勝に残っている。
(疲れがきているはずだ)動きで負けたら恥ずかしい。
常に足を動かすというのを意識した。
攻めるときは攻め、守るときは守ることができた」と野口。
最後は3度目のマッチポイントを野口がとうとう決めて決着がついた。
敗れた清水は力尽きコートに大の字になって倒れた。
「せっかくここまできたのに、今までのプレーができなくて…
応援してくれた人たちのことを考えると…」と表彰式での清水の涙は止まることない。それに対して決勝戦を目撃した観客は拍手で慰める。
野口、3回戦では越智真(江崎グリコ)にタイブレーク4-6でマッチポイントを握られていたが3時間を越える激戦で逆転勝ちした。
準々決勝の対戦相手、今井慎太郎(イカイ)には過去3連敗、一度も勝ったことがなかった。
決勝戦相手、清水には今年6月、中国でのITF大会で戦った時は3-6、1-6で負けていた。
2016年、島根インターハイで優勝し、プロに転向。
中2の時から小島弘之コーチ(WTAツアー最高ランキング28位の長塚京子元コーチ)に指導を受け、小島コーチのアドバイスでクレーでの試合の多いヨーロッパに遠征。
ほとんど勝てなかったが、世界のテニスを体感しテクニックを磨く。
「コツコツやるタイプ、努力ができる天才」と小島コーチは言う。
派手さはないが攻守のバランスの良い野口が全日本チャンピオンとなった。
<<男子ダブルス決勝>>
◎仁木拓人/今井慎太郎 7-6(3),7-6(9) ●清水悠太/羽澤慎治
「全日本は年々、タイトルの重み、重要性を感じるようになってきた」と優勝の今井/仁木組。
会場:有明テニスの森公園
シングルス48ドロー
ダブルス各8ドロー
ミックスダブルス8ドロー
オーダー・オブ・プレー、ドローなど
チケット情報
<<男子決勝>>
◎6]野口莉央(明治安田生命) 63 64 ●3]清水悠太(三菱電機)
<<準決勝>>
◎3]清水悠太(三菱電機) 26 63 64 ●8]島袋将(早稲田大)
◎6]野口莉央(明治安田生命) 64 63 ●Q]望月勇希(中央大)
<<準々決勝>>
◎8]島袋将(早稲田大) 63 26 63 ●15]田沼諒太(ワールド航空)
◎3]清水悠太(三菱電機) 75 46 75 ●7]山﨑純平(日清紡)
◎Q]望月勇希(中央大) 64 16 62 ●5]高橋悠介(三菱電機)
◎6]野口莉央(明治安田生命) 64 64 ●2]今井慎太郎(イカイ)
<<3回戦>>
◎15]田沼諒太(ワールド航空) 64 57 63 ●1]徳田廉大(イカイ)
◎8]島袋将(早稲田大) 63 61 ●11]片山翔(伊予銀行)
◎3]清水悠太(三菱電機) 76(3) 62 ●Q]市川泰誠(ノアインドア)
◎7]山﨑純平(日清紡) 63 61 ●今村昌倫(慶應大)
◎5]高橋悠介(三菱電機) 63 75 ●10]竹内研人(橋本総業)
◎Q]望月勇希(中央大) 64 63 ●16]斉藤貴史(橋本総業)
◎6]野口莉央(明治安田生命) 57 76(6) 60 ●9]越智真(江崎グリコ)
◎2]今井慎太郎(イカイ) 62 46 62 ●13]羽澤慎治(慶應大)
男子シングルス・ドロー
男子ダブルス
女子シングルス・ドロー
女子ダブルス
ミックスダブルス
全日本は1922年大正11年、日本庭球協会が発足した年にできた大会、94回の歴史を誇る。
優勝した野口も試合前は「全日本は憧れ、すごい選手達が全日本のタイトルを取っている。自分もその中の一人になれれば名誉なこと」と言っていた。
本格的に競技テニスを始めた者にとっては「出場」できただけでも名誉な大会、全日本は「憧れの場」だ。
全国各地で行われる地域予選からここを目指すプレーヤー達が今もたくさんいる。
記事:塚越亘/塚越景子 写真:鯉沼宣之/伊藤功己/TennisJapan