10月6日(木)、 9人の日本人プレーヤーが本戦でプレーした今年の 「楽天ジャパン・オープン」、2回戦に勝ち進んだのは、予選突破の野口莉央(明治安田生命)とラッキールーザーで本戦入りした守屋宏紀(安藤証券)の二人、幸運を掴んだ二人のプレーヤーは予選勝者を破って2回戦でシード選手と戦った。
野口莉央(明治安田生命)は予選が始まった1日(土)にはその週に千葉県柏市のTTCで行われているITF25の大会に出場していた。
朝10時からの準決勝で野口は越智真(江崎グリコ)を6-3、6-3で破り決勝進出を決めてから有明に直行、予選1回戦で伊藤竜馬(橋本総業)と戦い 6-0、6-2で勝利を飾った。
両大会に勝ち残った野口だが、明日2日(日)の柏ITF決勝は12時から予定され、楽天ジャパンオープン予選決勝ラウンドは朝の11時からに入っているオーダー・オブ・プレーになっている。
この物理的移動が不可能な事態は1TF柏のトーナメントディレクター吉田好彦の愛情ある決断で穏便に解決した。
吉田は野口のATPツアー初本戦入りの挑戦をサポートし、自らの大会の「決勝戦中止を決断」したのだ。
「正直迷いました。
決勝戦のチケットは有料で売り出しているし、楽しみにしているファンがたくさんいます。
ITFやATPとも相談しましたが、そもそもこの大会は日本テニス強化の為の大会。
選手に強くなって世界に羽ばたいて欲しい、その一助が趣旨です。
かって宮城黎子さんが何度もここに来られて日本のテニスの為に大会を創ってくれと頭を下げておられたことを思い出しました。
何回もお断りしたのですが、その情熱で作った大会です。」そのころを思い出したと吉田トーナメントディレクターは言う。
そのお陰で野口は気がねなく楽天ジャパンオープン予選をプレーし、ATPツアー初の本戦入りを決めた。
守屋宏紀(安藤証券)は予選決勝ラウンドで島袋将(有沢製作所)に負けていた。
しかし本戦に決場者が一人出たことで、予選決勝で敗れた者が一人ラッキールーザーとして本戦でプレーできることとなった。
だが、予選決勝ラウンドで負けてしまったプレーヤーは4人もいる。なんと守屋は抽選でラッキーな一人となり本戦でプレーできることになったのだ。
<<2回戦>>
●守屋宏紀1-6 6-3 4-6 ◎T・フリッツ
凄い試合だった。
守屋は金星まであと一息だった。
勝ち切ったフリッツを褒めるしかない戦いだった。
楽天ジャパンオープンには4年ぶり10度目の出場の守屋は第2シードのC・ノリー(イギリス)が新型コロナウイルスで欠場したためラッキールーザーで本戦入り。
1回戦で予選を勝ち上がってきた清水悠太(三菱電機)を6-1、6-3で破り2回戦でフリッツと対戦した。
オープニングゲームでフリッツのサーブを破る好調な出だし。
しかし続く第2ゲーム、ゲームポイントを取りそこなうとなんと6ゲーム失う。
第2セット
3-4、フリッツのサーブ、ナイスリターンなどで30-40とブレーク・チャンスを掴む。
3回目のデュース、20回は続いたラリー戦に完全に打ち勝ち守屋は5-3とリード。
40-30のセットポイントはクロスに決めて第2セットを取り返した。
ファイナル・セット
第8ゲーム、先に守屋が落とし3-5となる。
5-3、フリッツのサービング・フォ・ザ・マッチだが、固くなったか0-40。
凄いサーブを守屋はナイスリターン、なんと0でブレーク・バック、守屋4-5と粘る。
守屋、4-5のサーブ、30-40とマッチポイントを握られる。
ラリー戦、フォアをネット。
どちらが勝ってもおかしくない試合に守屋は惜敗した。
解説の鈴木貴男は「なぜ勝ち切れなかったか? 経験を積んで克服して欲しい」とエールを送る
<<2回戦>>
●野口莉央 3-6 1-6 ◎7]D・シャポバロフ
ITF柏決勝戦を棄権して楽天ジャパンオープン予選決勝をプレー、見事予選突破しATPツアーに初めてプレーした野口。
1回戦では同じ予選勝者のラマナタン(インド)を6-4、3-6、7-6(1)で破りツアー本戦デビューを勝利で飾った。
第7シードのシャポバロフの最高ランキングは10位。先週の韓国オープンでは西岡良仁(ミキハウス)のしつこいプレーに敗れているので日本人プレーヤーには警戒している。
野口のサーブで始まり、40-15とリードするがデュースに縺れる。
松岡修造は「トッププレーヤーとの初対戦で1ゲーム取るのは大変」とTV解説。
簡単には取らせてくれないが、野口が2度のデュースの末にキープすると3-3まで競り合う。
パスを決めるなど随所で良いプレーを見せ健闘したがゲームは取れなかった。
2回戦ハイライト動画 (守屋vsフリッツ0:00から 野口vsシャポバロフ 5:24から)
$2,108,110 ATP500 Japan Open
会場:有明テニスの森公園
ライブスコア
オーダー・オブ・プレー
<<準々決勝>>
クォン(韓) vs マルチネス(スペイン)
4]ティアフォー(米) vs キツマノビッチ(セルビア)
3]フリッツ(米) vs 5]キリオス(豪)
7]シャポバロフ(カナダ) vs 9]チョリッチ(クロアチア)
本戦ドローnet
本戦ドローPDF
予選ドロー
ダブルスドロー
2012年、2014年のチャンピオン、錦織圭(ユニクロ)は残念なことに不出場。
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記事:塚越亘/塚越景子 photo 鯉沼宣之/伊藤功巳/TennisJapan