ITFジュニアとしてはグランドスラムと同グレードの『世界スーパージュニアテニス』(JA・グレードA)が、大阪・靱公園テニスコート(大阪市西区)で開催され、10月16日は、シングルス決勝2試合が行われた。

第1、第2シード、そして日本人対決となった齋藤咲良と石井さやかの対戦は、齋藤の堅実なプレーに軍配が上がる。

「さやかちゃんはボールが速くてパワフル。気持ちで押されることなく戦いたい」と戦前に語っていた齋藤は、「昨日のダブルス決勝の前から緊張していた」という石井の固さが見られる立ち上がりを攻め立て、いきなりサービスブレークからスタートする。

第3ゲームでブレークバックされ、2―2とふりだしへ戻されるも、齋藤のメンタルは揺るがなかった。「落としたゲームは簡単なミス。1ポイントに集中していこうと考えた」とその後、4ゲームを連取し、第1セットを6−2で先取する。

第2セットになると、「勝ちたい気持ちで頭の中がいっぱいだったので、しっかり自分のテニスをしようと切り替えた」石井が、持ち前のパワーで相手のラケットを弾くなど、強さを見せ始める。齋藤は第4ゲーム、ダブルフォールトでブレークポイントを渡すも、「動揺はしなかった」と冷静にラリーを積み上げブレークを許さなかった。

お互いキープが続き4―4となった第9ゲーム、石井が後に「あれで相手を勢いづかせてしまった」と悔やむファーストポイントをダブルフォールトする。その隙を見逃さなかった齋藤が、一気呵成しラブゲームでブレーク。続くゲームをキープで6−4とし、自身、J A(グレードA)初の優勝を果たした。

優勝した瞬間喜びの表情を見せる齋藤

「どの試合も簡単ではない中、単複優勝できて本当にうれしい。最後まで強い気持ちでやり切れたし、このグレードでの初めての優勝が日本で良かった」と喜びを語る齋藤。16歳にしてジュニアランキングトップ10入りを確実なものとし、来年のグランドスラムジュニアへ向けてさらなる弾みをつけた。


男子の決勝は、父がスペイン人、母が韓国人というジェラルド・カンパナ・リ(KOR)と、父がインドネシア人、母が日本人というジョナサン・イルワント(USA)というアジアの血を受け継ぐ選手同士の対戦となった。

第1セットは、第1シードのカンパナ・リが鍛え上げらえた体躯から繰り出す重いショットでイルワントを攻撃し、優勢に試合を進め、6−3でセットを先取する。

第2セットも1ブレークアップの5−4とリードしたカンパナ・リが、そのまま押し切ると重いきや、イルワントが捨て身の猛攻を繰り広げる。カンパナ・リは5−6相手のセットポイントで、ダブルフォールトを犯し、試合はファイナルセットへ。

5−1とリードしたカンパナ・リだが、前日3時間超えのロングマッチを戦った影響で、あと1ゲームが遠い。お互いメディカルタイムアウトを取る消耗戦の中、イルワントが3ゲームを連取し、再び追い上げをみせるが、カンパナ・リが2度目のサービング・フォー・ザ・マッチをラブゲームで取り切り、6−35−76−4で栄冠を手にした。

最後はフィジカルの強さで勝ち切ったカンパナ・リ

「第3セットには足が攣っていたが、何とか気力を奮い立たせて勝利ができた。昨日も今日も長い試合を制して優勝できたので、いつも以上にうれしい」と、顔をほころばせる。

4歳からスペインでテニスを始めたクレー育ちのカンパナ・リが、フィジカルの強さで勝ち取った栄光となった。

世界スーパージュニアテニス(JA・グレードA)

10月16日の結果(ITF)

◯齋藤咲良[1](JPN) 6-2 6-4 ●石井さやか[2](JPN)
◯ジェラルド・カンパナ・リ[1](KOR) 6-3 5-7 6-4 ●ジョナサン・イルワント(USA)

男子シングルスドロー
男子ダブルスドロー
女子シングルスドロー
女子ダブルスドロー

取材・写真/保坂明美