各年代のトップを決める「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2024」が8月26日から9月6日にわたり、有明テニスの森公園テニスコートで行なわれた。9月6日には、18歳以下の男女シングルスとダブルスの決勝が実施された。

18歳女子決勝は、先月行なわれたインターハイ個人を制した野口紗枝が、ノーシードから勝ち上がってきた井出葵に6-2、6-3で勝利して、全国2大会優勝を果たした。「身体もメンタルも勝ち続けることは難しい」と実感しながらも、「色々な人が応援してくれてると考えたら、たくさんエネルギーがみなぎってきました」と、優勝まで駆け抜けた。

優勝までの道のりで最もピンチに陥ったのは準々決勝での第4シードの名雪芹との試合だった。相手に6つマッチポイントを握られながらも、1-6、7-6(7)、6-3 で逆転勝利している。自分の調子が悪い中でもどうにか立て直して勝利した、この試合を乗り越えたことで、2大会連続優勝という大きな課題を前にしても気持ちが揺らぐことはなかった。

優勝者に与えられる海外合宿では、「海外の選手は高さやパワーがあるので、その中で勝つにはどういうプレーをしていけばいいのか」を学びたいと意欲的。プロになることを視野に入れているだけに、有意義な合宿になりそうだ。

野口紗枝
井出葵

男子決勝は第1シードの富田悠太に第11シードの逸﨑獅王が6-4、2-6、6-2のフルセットで勝利して、久々の全国優勝を果たした。

逸﨑の今大会にかける気持ちは並々ならないものがあった。最後に全国優勝したのは全日本ジュニア14歳以下。その時は、パワーで勝てており、「トレーニングをしていなかったので、それが返ってきた」と、その後はなかなか勝てなくなってしまう。

その状況から脱出するべく、取り組んだのが走り込みや筋トレ。「トレーニングは誰にも負けないぐらいやってきた自信があります」と言う通り、以前は80キロあった体重が69キロにまでシェイプアップされ、コート上でも動けるようになった。

インターハイで準優勝と悔しい思いをして、乗り込んだジュニア最後の全国の舞台。ここでも決勝に進んだ時点で疲労が蓄積していてもおかしくはない。その上、決勝はファイナルセットにもつれ、デュースが何度も繰り返されるロングマッチに。たが、「何度でも(デュースを)やり直して、取れる時に取るという気持ちでいた」と、フィジカルで負けない自信が支えとなった。燃え続ける闘争心は勝利の瞬間に一気に解放され、コートに大の字になった逸崎は久々の優勝を嚙み締めた。

逸﨑獅王
富田悠太

■決勝の結果
〇男子シングルス

逸﨑獅王(トップランAIOI)[11] 6-4 2-6 6-2 富田悠太(ノアTA神戸垂水)[1]

〇女子シングルス

野口紗枝(レニックスTS)[7] 6-2 6-3 井手葵(沖縄尚学高校)

〇男子ダブルス

土海悠太/木村一翔(関西高校) 7-5 6-4 上田頼/稲木友望(MSS橘TA/Team YUKA

〇女子ダブルス

川崎このは/網田永遠希(野田学園高校)[5] 6-4 6-2 井手葵/水口由貴(沖縄尚学高校)

取材・文/赤松恵珠子