日本最高峰のタイトルをかけ、選手たちが凌ぎを削る「三菱電機ビルソリューションズ 全日本テニス選手権 99th」(本戦10月4日〜13日)。10月10日は女子シングルス準決勝、男子シングルス3回戦、男子ダブルス準々決勝の計10試合が行われた。

齋藤咲良が2日連続のロングマッチを制して決勝へ

女子シングルスの準決勝、齋藤咲良と今村咲は、お互いライン際を狙い合うラリー戦を繰り広げ、第1シードの齋藤が7-5 4-6 6-3で試合を制した。

序盤は前日のロングマッチの疲労が隠せず、2-5と今村にリードされた齋藤だが、「もう一度重心を落とすように」心がけたことで、次第にペースを掴み5ゲーム連取で第1セットを獲得する。

第2セットも同様、先行する今村に対して追いかける齋藤。4−4のワンチャンスを生かした今村に軍配が上がり、勝負はファイナルセットへともつれこむ。

今村咲 写真:鯉沼宣之

「今村さんは本当低い軌道で、丁寧にかつパワフルに打ってくる。ラリー戦で自分が何か一つ加えないとうまく崩せないと思ったので、アングルとかたまにドロップとかで揺さぶったり、(相手の)リターンが良かったので、ファーストサーブからセカンドサーブを混ぜたりして、少しでもリズムを崩せるように努力した」という齋藤は、第3ゲームで先にブレークを許すが、次のゲームですぐさまブレークバックする。

齋藤はバックのダウンザライン、今村は両手フォアの逆クロスと、お互いに持ち味を出し合う中、齋藤が第6ゲームをラブゲームでブレークすると、そのまま守り切って、決勝進出を決めた。

「予想以上にしんどい」と、齋藤はこれまでの道のりを振り返りつつ、「でも優勝してきた人はみんなこの道を通ってきた」と、本玉真唯、清水綾乃ら先輩たちの経験談を聞いたことを明かす。

決勝では「ベースライン上でのプレーが自分の持ち味、下がらずにラリーするところや、走らされてのカウンター、最近はネットプレーも練習してきているので、チャンスがあれば前に出て、いつもどおりアグレッシブな試合がしたい」と語る齋藤。初出場、初優勝を目指し、決勝へ臨む。

石井さやかがパワーで伊藤あおいを圧倒!

石井さやか 写真:鯉沼宣之

もう一つの準決勝は、第2シードの伊藤あおいと、第3シードの石井さやかの対戦となった。2人は準決勝の試合直前にも一緒に試合を観戦するほど、日頃から仲がいい。石井曰く「あおいとは何でも言い合えるし、気を使わない。試合を全力で戦ってもそれは変わらない」とその関係性を語る。

パワーの石井と、テクニックの伊藤という、対照的な2人の戦いは、アメリカ拠点で磨きがかかった石井のサービスゲームが光る。第1セットは石井が一気に5−2とリードし、2ゲーム連続で落として5−4となるも、次のゲームをキープし、6−4で獲得した。

伊藤あおい 写真:鯉沼宣之

スライスやゆるいボールで相手を惑わす伊藤のプレーに対しても「ここに来るだろうというのが読めるようになってきた」という石井が低い姿勢をとって打ち切っていく。第2セット、先にブレークしたのは伊藤だが、石井はその後、相手に7ポイントしか許さず5ゲームを連取し、6−3で勝利した。

齋藤と決勝で対戦するのは、2022年世界スーパージュニア以来となる。石井は2−64−6で敗れているが、「あのときは自分が緊張していて、いいプレーができなかった。今回はここまでいい形でプレーができているので、自信を持っていいのかな」と語る。

ジュニア時代から凌ぎを削ってきた2人が、全日本決勝という舞台で顔を合わせる。10代対決となった女子決勝は、注目の一戦となるだろう。

【三菱電機ビルソリューションズ 全日本テニス選手権 99th 10月10日の結果】

今季で引退する伊藤竜馬はベスト8へ進出 写真:鯉沼宣之

■女子シングルス準決勝
[1]齋藤咲良(富士薬品)7-5 4-6 6-3 今村咲(EMシステムズ)[8]
[3]石井さやか(ユニバレオ)6-4 6-3 伊藤あおい(SBC メディカルグループ)[2]

■女子ダブルス準決勝
林恵里奈(セーレン)/森崎可南子(橋本総業ホールディングス)6-3 7-5 佐藤南帆(三田興産)/小堀桃子(橋本総業ホールディングス)[1]
今村咲(EMシステムズ)/阿部宏美(EMシステムズ)[2] 6-3 6-0 吉川ひかる(フクシマガリレイ)/西本聖良(トップラン)

■男子シングルス3回戦
田口涼太郎(Team REC) [5] 7-5 6-3 羽澤慎治(JCRファーマ)
磯村志(やすいそ庭球部) [3] 6-2 7-6(0) 松岡隼(B6TC) [16]
伊藤竜馬(興洋海運) 7-6(6) 6-7(1) 7-5 住澤大輔(イカイ) [9]
松田龍樹 (ノア・インドアステージ)[2] 7-6(3) 7-6(5) 田中佑(筑波大学)[Q]

■男子ダブルス準々決勝
中川舜祐/楠原悠介(伊予銀行) [4] 6-3 7-6(4) 末岡大和/磯村志(エキスパートパワーシズオカ/やすいそ庭球部)
上杉海斗/野口政勝(江崎グリコ/ONE DROP) 7-5 6-2 竹島駿朗/菊池玄吾(JITC/エキスパートパワーシズオカ)

記事/Tennis,jp 写真/鯉沼宣之