パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、現地時間11日に前日から雨天順延となった男子シングルス決勝の続きを行い、第2シードのラファエル・ナダルが、第1シードのノバク・ジョコビッチを6-4、6-3、2-6、7-5で破り3連覇を果たした。同時にこの優勝は、ナダルにとって通算7度目の全仏タイトルとなり、ビョルン・ボルグの記録を抜いて、全仏史上最多優勝回数を記録。
やはりナダルは、ローランギャロスのセンターコートに愛さた存在なのだろうか? 昨日の試合では2セット先取しながら、猛追を開始したジョコビッチに1セットを奪われ、第4セットでも先にゲームを落とした後に、雨のため試合は中断。翌日への延期が決定した。
「昨日は、ようやくいいプレーをし始めたところで雨で中断になってしまった。不運ではあった……」
いいわけはしないといいながらも、敗れたジョコビッチは、昨日の不運を嘆きもした。
そして翌日月曜日に、第4セット2-1でジョコビッチがリードした状態から再開された、決勝戦。30-40のブレークポイントでナダルが放ったバックハンドはネットにかかり、相手コートのネット際にポトリと落ちた。ジョコビッチはこれをなんとか返したものの、力ないボールをナダルはすかさずバックで打ち抜き、ジョコビッチの横を抜く。この試合の趨勢(すうせい)を決する重要なポイントは、両者の間に張られたネットの気まぐれが左右した。
「曇ときどき、にわか雨」の天気予報が示す通り、試合開始から約15分後に降りだした雨。乾いたボールに強烈なスピンをかけたいナダルにとっては、避けたい夾雑(きょうざつ)物である。その後も雨は強くなりだし、ゲームカウント4-5の時点で再び短い中断を挟んだ。だが両者がコート上で待つあいだに、雨はあがって太陽が顔を出し、照りつける陽光が赤土の水分を飛ばしていく。
その太陽の動きと呼応するように、ナダルは時速200km/hを超えるサーブを、そしてスピンの効いたフォアの逆クロスを、相手コートに突き刺していく。鬼気迫るナダルの攻撃に飲まれるように、マッチポイントでは、ジョコビッチがサーブ2本をミスしてダブルフォルト……。ラインを逸れるボールの行方を目で追いながら、ナダルはファミリーボックスに向き直り、赤土に両膝をついて両手を天へと突き上げる。そうしてファミリーボックスによじ登ると、4歳で初めてラケットを握ったその日から、毎日のように自分を指導し続けてきた、叔父のトニー・ナダルに飛びついた。
8年前に全仏初出場したその年から、毎年全仏期間中に誕生日を迎え、26歳と9日で手にした7つ目のタイトル。表彰式後のフォトセッションでは、トロフィーにかじりつく恒例のポーズも披露したナダル。史上最多のその味は、さぞかし別格だったろう。
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