「ローランギャロス ジュニア シリーズ by Renault」のアジア大会が2024年10⽉16⽇(⽔)から20日(日)にわたり、第⼀⽣命相娯園テニスコートで行われる。今大会はフランステニス連盟(FFT)が、アジアテニス連盟(ATF)、日本テニス協会(JTA)と協力して開催されるもので、男女シングルスの優勝者には、2025年全仏オープンジュニアの本戦ワイルドカードが授与される。

大会初日の16日には、トーナメント・アンバサダーである錦織圭の会見が行われ、コーチングセッションを行なった出場選手、レッドクレー、ジュニアが強くなる方法などについて語ってくれた。

「うまい子も多くいました」と言う出場選手の中で錦織が、「絶対100位は行くな」と思ったジュニアはカザフスタンの選手で、「完成されていました。フォアもバックもしっかりしていてすごい球を打つ」と評価していた。

会場近くの神社で健闘と祈願 写真:FFT

そういう突出した選手を除けば、「ジュニアの頃は結果だけではないので、どういう選手が上がってくるのかの判断は難しい」と言う。しかし、「上に上がっていきそうなテニスと、すごく勝っていてもジュニアで留まりそうな子はなんとなくわかる。この中にも、ちょっとこのままでは大変そうな選手はいるので、そういう選手になるべく早く気付かせてあげて、『トップに行けるのはこっちだよ』って道標をしてくれる人がいるといいなと思いました」

“ちょっとこのままでは大変そう”というのは、つないでいるだけや、相手との駆け引きができていない、相手のミス待ちをしているというプレーの場合が多いようだ。

アジア各国から集まった16人のジュニアがローランギャロス・ジュニアのワイルドカードをかけて戦う。写真:Tennis.jp

2006年全仏オープンジュニアのダブルスで優勝している錦織のように、レッドクレーでのプレーが好きになるにはどうすればいいのかとの質問には、「日本のコートで育つと、フラットを打つ選手が生まれやすいのは仕方がない。でも今回もスピンの高いボールを打てる選手も多いのでクレーが苦手そうとは思わないですけど」と前置きをして、「経験を積むのが一番かと思う。僕も14歳ぐらいの時に、ヨーロッパのクレーの大会に6週間連続で出たりしていたのでそのお陰もあるのかも」と自身の経験を踏まえて語った。

やはり、ジュニア時代に経験しておくことは大事で、プロとして活躍できる選手になれる道筋についても、「海外に行くのが一番手っ取り早い」と拠点を海外に置くことを挙げた。

または、できるだけ多く海外遠征に行くことだが、「現実問題、日本にはグランドスラムがあるわけではないので、日本テニス協会にお金を貯める手段があまりない。その中でもジュニアを海外に連れて行けたり、若い頃から経験させてあげる手段があれば」と言い、「これから自分がするべきことかもしれないですけど、そういうことができれば、日本の選手たちにとっては良いのかなと思います」と付け加えた。

錦織が日本ジュニア育成に向けて動き出す考えがあるのだろうか?「こういう経験は好きだし、子どもたちに何か刺激を与えてあげたい気持ちはある」としつつも「まだ何をやろうとかはなくて、辞める時バーンアウトして、2、3年世に出たくないと思うかもしれないので、約束はしたくないですね」。育成に関わるにしても、まだ先のようだ。

ジュニアがトップ選手へと成長する道のりは厳しいが、まずは今大会で優勝し、ローランギャロス・ジュニアの本戦ワイルドカードを手に入れることだ。優勝できなかったとしても、錦織からのアドバイスや、レッドクレーでの海外選手との試合を通して、今までにない経験を積むチャンスとなるだろう。

【大会概要】
■大会名
Roland-Garros Junior Series by Renault
(ローランギャロス ジュニア シリーズ by Renault)
■日程
10月16日(水)~18日(金):ラウンドロビン
10月19日(土):準決勝 
10月20日(日):決勝戦と表彰式 
■会場/第一生命 相娯園テニスコート(世田谷区給田1-1-1)
■サーフェス/レッドクレー
■試合形式
4名1グループによるラウンドロビン戦を行い、グループ1位の選手が決勝トーナメントへ進出。準決勝、決勝を戦う。
■ドロー/男女16ドロー
■出場資格/ 2025年出場時点に17歳以下の選手
※観戦無料

構成&写真:Tennis.jp