
皆さん、こんにちは!
テニス大好きなアナウンサー、川又智菜美です。
2024年、日本男子テニス界にひとつの幕が下りました。
輝かしいキャリアを持ち、熱くテニスと向き合ってきた伊藤竜馬選手が現役生活にピリオドを打ったのです。
今回、初めて伊藤竜馬プロにお話を聞くことができたので、引退して感じていることを率直に語っていただきました。

お話を伺っていくと、柔らかな表情の中に、プロとしてやり切った誇りと、これから始まる新しい挑戦への静かな意志が見えてきました。
「ファンとの距離が、僕の力になった」
インタビューを行ったイベント「ヒートジャパン」は、選手と観客の距離が近く、和やかな雰囲気で知られています。
私たちテニスファンは、選手たちのプレーに力をもらいますが、私たちの応援が選手たちの力になっている…こういった言葉は改めて嬉しいなと聞いていて思いました。ファンとの関係性を大切にしていたことは、その言葉の端々からも伝わってきます。
「継続力こそ、自分の最大の強みだった」
18年というキャリアを、振り返ってみてどう思うのか?伺ってみると…
「やっぱり“継続力”ですね。一つのことに対して、18年プロ生活をやり続けたっていう能力っていうのは、やっぱり高かったと思います。練習を毎日したり、大会を毎週…それに遠征も行ったり。18年続けられるっていうのは、なかなかタフなこともあったんですけど、やり切れたっていう部分が自分の中ではあったので、そこは継続力がすごい高かったのかなと思っています」

プロテニスは華やかに見えて、実際は地道な積み重ねの世界。
そこに向き合い続けた18年を、穏やかな口調で語ってくれました。
「すごく幸せに終われた」
印象的だったのは、最後の全日本選手権について語ってくれた時の言葉です。
「最後の大会で改めてお客さんの大切さとか、エネルギーをもらった瞬間がすごい感じられました。そこでやっぱりプロとしてここまでやってきてよかったな、っていうのをすごい思えたので、すごく幸せに終われたと思えました」
「今は、よく寝られるようになりました(笑)」
幸せに現役生活を終えることができた伊藤プロ。
引退後の変化を尋ねると、少し笑いながらこんな風に語ってくれました。

「メンタル的に練習とかトレーニングを自分から追い込まなくていいっていう楽さはすごい感じますね。現役生活の時は研ぎ澄まされたやっぱりピリついた感じとかもありましたし、自分の好きなことをやってるけど、仕事としてやってきたので、【使命】というのも感じていました。現役生活を終えて肩の身が下りたというか…すごい体が楽になりましたね。よく寝られるようになりました(笑)。もう次の日はあまり考えなくていいような感じ。引退後も仕事をいただいたりはしてるんですけど、自分が打つとかトレーニングとかするのではなく、解説したりとか、選手のコーチでサポートしたりなので、新たな働き方っていうので面白い感じではありますね」
現在は、プレーする側から、伝える・育てる側へ。
「打つ」よりも「伝える」仕事に、モチベーションを感じていると言います。
「次は、“頭脳派の伊藤”として」
今後のビジョンを伺うと、
「やっぱりこれからはコーチ業がメインになります。
選手やジュニアのサポート、育成に関わっていきたい。そのためには、言葉で伝える力や、コミュニケーション能力ももっと高めたいと思っています」
そして、最後にこう語ってくれました。
「コーチになって賢さがすごい重要になってくると思うので、“頭脳派の伊藤”を見せられるように頑張っていきたいっていうのがあります」
頭脳派の伊藤竜馬プロ、楽しみですね。

18年間というキャリアの中で、ひたむきに、誠実に、テニスと向き合い続けてきた伊藤竜馬プロが
「幸せに終われた」と言えること。
今までできる限りの努力を精一杯重ね、人との繋がりを大切にしてきた証なのだと思います。
伊藤竜馬プロの次のステージに、心からのエールを送りたいです。
写真/伊藤功巳



