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実業団の団体戦「第39回テニス日本リーグ」の決勝トーナメントが、東京体育館で2月14日から16日にわたり開催された。2月16日には決勝戦と3位決定戦が行われ、女子決勝は前回優勝の橋本総業ホールディングスが連覇を果たした。
対戦相手は3回連続で島津製作所。前回は橋本総業HDが挑戦者の立場だったが、今回はランキングを比べると優勢な状態。だからこそ、小畑沙織監督は「(選手たちは)ツアーとは違うプレッシャーがあり、精神的にすごく大変だったと思います」と言う。
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最初に行われるシングルス2(以下S2)に出場した坂詰姫野は、「プレッシャーなくS1とダブルスに回せるように」との思いで試合に臨んだが、「本当にガチガチに緊張した」と、1試合目に入る難しさを身にしみて感じることになる。それはプレーにも表れて、いつもよりもショットは伸びず第1、2セットとも先にリードされてしまう。
なかなか調子が上がらない中、「どれだけ相手に決められても焦らずに自分のペースを崩さないこと」を心掛けた坂詰。自分ができることを模索し、2セットともタイブレークを制して勝利をつかみ取った。
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S1の岡村恭香は、「S2が先陣を切ってくれて、後ろには完璧な2人がいて、自分は思い切りやるだけ」と思ってコートに立った。岡村は現在キャリアハイを更新中で、今季からS1を任されている。
だからこそ、自分に期待する部分が大きかったのかもしれない。「決勝トーナメントの2試合は、勝ちたい気持ちが強くなってしまった」と、空回りしてミスを多発。1-1となり、勝敗はダブルスに委ねられた。
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橋本総業HDの強みは、最後に安心して送り出せる小堀桃子/森崎可南子組がいることだろう。小堀は森崎について「サーブもストロークもパワフルで引っ張ってもらっています」と信頼を置く。森崎も「私がパワフルで、繊細なところをももちゃん(小堀)がカバーしてくれる。それが噛み合った時に最高のパフォーマンスが出せると思っています」と自信を見せる。
決勝戦でも2人が築き上げてきた息の合ったプレーは存分に発揮され、1度もリードを許すことなく、2連覇を橋本総業HDにもたらした。そして、今シーズンの日本リーグを全勝で終えた小堀・森崎組は、最高殊勲選手に選ばれた。
吉田友佳総監督は、「2連覇ということだけを思っていたので、その中で勝ち切るのは、どれだけ大変かはわかっていました。選手は良い時もあればうまくいかない時もある中で、協力し合って、カバーしあって勝ち切れたのは、自信を持っていいのかと思います」と、プレッシャーがかかる中で戦った選手たちを称えた。
優勝候補筆頭だったからこそ、通常のツアーでは味わわないプレッシャーとの戦いがあった橋本総業HDチーム。これから目指すのは3連覇、4連覇と続ける厳しい道のりだ。
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<女子決勝戦スコア>
橋本総業ホールディングス 2-1 島津製作所
S1 岡村恭香 2-6 4-6 加治遥
S2 坂詰姫野 7-6(3) 7-6(2) 山﨑郁美
D 小堀桃子/森崎可南子 6-3 6-4 桑田寛子/松本安莉
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<女子決勝トーナメント結果>
優勝 橋本総業ホールディングス
準優勝 島津製作所
3位 橋本総業
4位 ノアインドアステージ
5位 明治安田
6位 エームサービス
取材・文/赤松恵珠子 写真/伊藤功巳