現在、日本人選手の進路として、ポピュラーになりつつあるのが、アメリカの大学でスカラシップ(奨学金)を得ることだ。テニスが強いだけでもいけないし、勉強だけでもいけない。文武両道が必須条件の中で、どこまでできるかが重要となる。

太田茂プロが運営する「チームサテライト」は、スカラシップを望む選手たちをサポートする活動を行なっている。その全容について話を聞いた。

「プロになりたい世界中の多くの選手たちが、アメリカの大学を選択しようとしています」
フルスカラシップを獲得することによって、大学によるものの、主に下記の援助が受けられる。

・学費
・遠征費
・用具の提供
・生活必需品の支給
・ストリンギング
・ウェアのランドリー
・各自専用のロッカー
・ウェイトルームの利用
・ケアルームの利用
・プロテイン完備のカフェテリアの利用
・アイスバス
・ウォームバス
・ドクターが常駐、もしくは10分以内に行ける病院との提携
・お小遣い(人による)

9月初旬、太田氏はアメリカの5つの大学を視察した際に、その設備の充実面に驚いた。各大学、コート面数が多いのは当たり前で、例えばディヴィジョン1のクレムソン大学はアウトドアコート12面、インドア6面を有し、それを学生17名で使用しているとのこと。イリノイ大学に至ってはアウトドア24面、インドア6面もあるという。

「アメリカの大学は、街の一つになっており、これらは全て寄附金で作られ、維持されています。アカデミックとスポーツをいう点に力を入れ、優れた人間形成を目指すことが、大学だけでなく、その居住地域にとって大きな取り組みの一つとなっています。また、イリノイ大の施設は、住民も利用できるようになっており、地域にも還元しているのが特徴です」

イリノイ大のインドアコート

ここでの大学側の重要なミッションは、強いチームを作ること、とにかく結果を出すことに尽きる。アシスタントコーチで800万円程度の年収、ヘッドコーチに至っては数千万円の年収が得られるが、結果が出なければ即クビを切られる。いかにもアメリカらしいやり方だ。

大学スポーツとして最も力を注がれているのはアメフトだ。続いてバスケットボール、そして、アイスホッケー、野球、サッカー、テニスとなる。その中で予算が配分されており、テニスではマックス男子は4〜5名分、女子はアメフトがないため、8名分のスカラシップ枠(大学による)がある。女子が獲得しやすいというのは、そういった理由からだ。

テネシー大のインドアコート

もちろん、受けたからには学生も勉強、テニスにおいて結果を出さなければならない。成績が悪ければ活動停止や、翌年以降に推薦を解除されることもある。

「勉強が追いつかない学生には、家庭教師がフォローすることもあります。入ってしまえば勉強ができなくてもいいといった甘えは許されません。だからこそ全てに真面目に取り組む日本人は、人気があるのです」

また、目指しているところがより高い選手が求められる。

「良い大学へ入ることがゴールだと思っている選手は、そこで行動が止まります。求められるのは“プロになりたい選手”たちです。大学の先を見据えているので、自然と高みを目指しますし、途中で辞めてプロに転向することも可能です」

朝起きてウェイトトレーニングを行い、授業を受けて練習、そして課題をこなすというルーティンを黙々とできる選手を大学のスタッフたちは血眼になって探すのだ。

アメリカの大学へ行ったという実績があれば、プロにもなれるし、その後の就職にも優位だ。太田氏はその道筋を歩むためのサポートを行なっている。

「高2で目指そうと思っても、かなり厳しい状況です。評定平均値の他に、SATという大学進学適正試験の点数、TOEFLの点数、テニスに関してはUTRの数字が重要です。これらを高い基準にするには中学3年くらいから取り組む必要があります」

UTRにおいても、ただポイントを稼ぐだけではいけない。自分よりはるかにランキングの低い選手と対戦して勝っても、ポイントが下がることがあるし、負けても世界ランキングの高い選手と戦えば、ポイントが上がることもあるという。それらが「信用度」という項目で示され、そのパーセンテージを大学のコーチたちは見ているのだ。

どこを伸ばし、どうすればアメリカの大学に近づけるのか。それをサポートするのが太田氏の役割だ。今年の7月より、スポーツ留学を株式会社PAS -SPORTと業務提携し、さらなる強化体制に入った。

「アメリカの大学とのつながりをすでに持っているPAS-SPORTさんとの取り組みで、進路における橋渡し的な役割をしていきたい」

今後はキャンプやショーケースを通じて、日本の多くのジュニアたちにアメリカの大学を目指す機会を作っていきたいと、太田氏は考えている。

サテライトプランニングのテニス進学サポート
https://satellite-planning.com/tennis-shingaku-support/

第1回PAS-SPORTキャンプ開催のお知らせ 株式会社PAS-SPORT、有限会社サテライトプランニングと共催でアメリカの大学にテニス通じて奨学金を得て留学希望の選手に対してアカデミック及びテニス、トレーニングをコラボさせたキャンプを開催致します。 共催:株式会社PAS-SPOT、有限会社サテライトプランニング 期日:2022年11月5日(土)~6日(日)の2日間 場所:サンシャイン白子(インドアコートにて行います)     〒299-4215 千葉県長生郡白子町中里4507-2     ☎0475-33-2121 参加資格:アメリカの大学にテニス留学を希望する中学2年生~高校2年生 ⚫️コーチ、トレーナースタッフ 1. 太田茂 元デビスカップ代表選手、PAS-SPORT関東、九州担当 2. 山根一真 PLUS LIST代表、PAS-SPORT 関西、中国、北信越、四国担当 3. 中尾公一 元錦織圭専属トレーナーとして6年間活動 ※参加人数に応じてコーチを増やします。 ⚫️アカデミックスタッフ 1.塩谷渚 2.竹内彰悟 ※アカデミックについて 今回のアカデミックでは、選手の英語レベルを知る為、実力テストを実施致します。 実力テストの結果は踏まえて、英語の勉強方法等をより具体的にアドバイスさせて頂きます。 費用:¥44.000(税込) 前泊希望の方は、¥55.000(前泊)(テニス練習付13時以降) 定員:18名 申込期日:2022年10月7日(金)までに下記のメールアドレスに氏名、年齢、所属クラブ、連絡先を明記願います。前泊希望者はお知らせ願います。   satellite_academy@icloud.com お支払方法:下記の銀行口座に上記申込期日までにお振込願います。 みずほ銀行 烏山(からすやま)支店 普通 1420744        有限会社サテライトプランニング 代表取締役 太田茂 ※キャンセルポリシー  2022年10月21日(金)まで全額返金、10月28日(金)まで半額返金、それ以降に  ついてはいかなる理由をもっても返金致しかねます。 現地集合、解散 集合:2022年11月5日9:30サンシャイン白子新館 解散:2022年11月6日16:00サンシャイン白子新館

【連載第1回】

「テニスで年齢ごとに忘れ物をしないように…」チームサテライトが取り組む きめ細いジュニア育成方法

2021年に埼玉・新座市の住宅地に位置する野火止テニスクラブは、48年経った今も、地元の人に愛され続けている老舗のテニスクラブだ。現在、クレーコート2面、砂入り人工…

【連載第2回】

「コーチとしての成果は結果」太田茂がチームサテライトで作っていきたいテニスのフィールド

「ジュニアで利益を得るのは難しい」日本のテニス界ではこのような声が上がる。育成の立場からの実際の声として受け止めなければならない現実ではあるが、指導生活30年を…

【お問合せ】
サテライトプランニング
https://satellite-planning.com/